カミラ・カベロが語る「自分らしさ」とラティーナの誇り、多様性のセレブレーション

 
『ファミリア』を象徴する3つの収録曲

まるでその誇りを世界に見せつけているかのようなマリアッチ・ホーンで始まる『ファミリア』は、メキシコとキューバの伝統音楽を中心に、長年彼女が聴き親しんできたラテン・アメリカ圏の音楽の様式に彩られ、スペイン語詞があちこちから聴こえてくる。クレジットを見ると、エドガー・バレラ(J・バルヴィンやCNCOの作品を手掛けたメキシコ人プロデューサー)やチェチェ・アララ(ラテン・グラミー賞の音楽監督を務めるコンポーザー/アレンジャー)といったラテン・ポップ界の売れっ子サウンドメイカーの名前がある上に、オーセンティックなナマ音にこだわって敏腕プレイヤーが多数起用されており、有名なところでは、キューバ人の名パーカッショニスト=ルイス・コンテや、同じくキューバ人のベーシストでチック・コリアらとプレイしているカルリートス・デル・プエルト辺りだろうか? トランペットやサックスが鳴り響き、スパニッシュ・ギターやアコーディオンがメランコリックな旋律を奏で、ティンバレスやコンガが複雑なリズムを刻んで、カミラの声を縁取っている。

「自分らしさ、そして自分がどういう人物になりたいかというのは、私が受け継いできたキューバとメキシコの伝統によるところが大きいと思う。私の開放的なところや遊び心、官能性、カラフルさ、プライドは、それらの文化から来ている。このアルバムでスペイン語の歌詞を書くようになる前から、時々スペイン語でフリースタイルで話して、どんなメロディが生まれるかを試してみたりしていたの。自分の中の異なる部分に耳を傾けようとして。だから私にとっては、より遊び心のある側面が引き出されると感じるわ。そして、無意識のうちに子供の頃から親しんできたラテン音楽にも影響されているのだと思う」。

もっとも、アルバムに着手した時にカミラの頭にあったのは、ラテン・ポップ作品を作ることではなかった。「私にとってこのアルバムを作るというのは、とにかく無防備でありたい、正直でありたいという心境になること。それがやり易かったのは、その瞬間に感じたことを何でも話せると思えるような、安心できる環境をコラボレーターたちが作ってくれたから。“演じる”必要はなくて、ありのままの自分でいられた」と説明する。ここで言うコラボレーターとは、エドガーやチェチェのほかに、大多数の曲の共作者兼プロデューサーであるリッキー・リードとスコット・ハリス、そしてマイク・サバスの3人が含まれ、いずれもメインストリーム・ポップのど真ん中で活躍するヒットメイカーだ。

彼らのサポートを得た今回の彼女は、主に恋愛を題材にしていた過去2作品とは一線を画して、多様な題材を網羅。敬愛するサルサの女王セリア・クルスへのトリビュート、キューバの政情を憂うプロテスト・ソング、あるいはメンタルヘルスを論じる曲、普遍的なメッセージ・ソング……と、曲ごとに異なるアングルとアプローチで自分の関心事を深く掘り下げている。例えばエド・シーランをゲストに迎えた先行シングルの「バン・バン feat. エド・シーラン」は、カミラ流メッセージ・ソングの好例だ。

「ほかの曲での私は、スタジオ入りした当日に抱いた感情について何でも書いたんだけど、この曲に関しては、人生の英知といった特別なメッセージがある曲を作りたかった。そしてその英知というのが、恋愛がいかに予測不能なものかについてとしたかったの。ある人物が自分の理想の相手だと思っていても、結局そうではなかったりする。あんな人に出会うことはもう二度とないだろうと思う。それでも別の出会いがあって、その人こそが理想的な相手だったりする。何が起こるかなんて分かりっこない。それが人生というもの。そういったことについて笑い飛ばしているところがあるわ」。



エド・シーランとカミラ・カベロ

また、フィフス・ハーモニーを脱退してから男性アーティストとの共演が続いていたカミラだが、本作では、ふたりのタイプの異なる女性たちとのコラボが実現。全編スペイン語の「アスタ・ロス・ディエンテス feat. マリア・ベセラ」で歌声を聴かせるのは、アルゼンチン人シンガーのマリア・ベセラだ。“情熱的”という言葉には収まり切らない、激しい独占欲や嫉妬を燃やす女性の心境に迫るこの曲には、スペイン語がよく似合う。

「マリアの曲は過去に聴いたことがあって、その中でお気に入りの曲は、私の友達であるJ・バルヴィンとのコラボ曲(先日のグラミー賞受賞式でもふたりで披露した「Qué Más Pues?」)が大好きなんだけど、ソングライティングやメロディといった点で、私たちはスタイルが似ていると感じた。だから、彼女とならきっとうまくいくと思ったわ」。



そしてもうひとりの女性ゲストは、「サイコフリーク feat. ウィロー」に参加したウィロー。に参加したウィロー。ポスト・ジャンル志向で我が道を行く彼女は、レゲトンを進化させたこの曲で、不安に苛まれて外の世界をシャットアウトしてしまうカミラに寄り添っている。

「私がとても不安な気持ちで、居ても立っても居られないと感じていた日に、ふたりのコラボレーターと一緒にメイン・メロディを書いたの。で、この曲を誰と一緒に歌いたいかと考えていた時に、 ウィローはThe Anxiety(=不安)という名前のバンドを率いていたので完璧だと思った。彼女もとても脆い部分があって、似たような感じだから」。



ウィローとカミラ・カベロ

このように、共作者、プロデューサー、ゲスト・シンガー/MC、そしてプレイヤーたち、大勢のミュージシャンを集めて音楽を作り上げるという本作での彼女のアプローチは、スペイン語で“家族”を意味するアルバム・タイトルにも直結している。

「私たちは、“誰の手も借りずに自分独りでやってきた”などとよく話すけど、それはあまりにも美化し過ぎていると思うの。このアルバムで私は、相互依存を称賛したかった。感情的に、精神的に、そしてスピリチュアルな面でより成功するのは、素晴らしい仲間がいてくれて、結束の固いコミュニティ、熱い友情、人間関係がある時だから。脆さをさらけ出し、人に対して正直であること、そして透明性のある本物の人間関係に焦点を置くということが、この時期を通して私の人生が変わった点ね」。




カミラ・カベロ
『ファミリア』   
発売中
視聴・購入:https://lnk.to/CamilaCabelloFamiliaRS

完全生産限定盤:2,970円(税込) 
特典①オリジナル・ポストカード(8枚セット)②オリジナル両面ポスター ③オリジナル・フォト 
通常盤:2,640円(税込) 

【収録曲】
1.ファミリア
2.セリア
3.サイコフリーク feat. ウィロー
4.バン・バン feat. エド・シーラン
5.ラ・ブエナ・ビダ
6.クワイエット
7.ボーイズ・ドント・クライ
8.アスタ・ロス・ディエンテス feat. マリア・ベセラ
9.ノー・ダウト
10・ ドント・ゴー・イェット
11.ローラ feat. ジョトゥエル
12.エヴリワン・アット・ディス・パーティー


完全生産限定盤 特典絵柄

 
 
 
 

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