ZAZEN BOYSとCHAIが一緒にダンス、相乗効果で「アクション」を生んだ夢の共演

向井秀徳とCHAI(Photo by 菊池茂夫(DYNASTY))

2022年4月17日に東京都・豊洲PITにてZAZEN BOYSとCHAIによる2マンライブ『うるさがた Vol.2』が開催された。

【写真を見る】ZAZEN BOYSとCHAI、夢の共演(全26点:記事未掲載カットあり)

昨年12月に突如として発表された「ACTION (with ZAZEN BOYS)」で出会った2組。CHAIの3rdフルアルバム『WINK』収録曲「ACTION」をZAZEN BOYS色に染めたこのコラボレーションで大きな注目を集めたばかりとあり、2月14日にライブ告知がされるとチケットは争奪戦になった。

ZAZEN BOYSとCHAI、ともに世代を代表する日本のオルタナティブアクトというのは言うまでもないだろう。貴重な2マンライブを見ることができたのは1300人ほど。ご時世の影響もあり座席ありのライブとなったが、ライブ中は座りっぱなしでなく立ってライブを見ることもでき、2組が出会うミラクルな瞬間を楽しめた一夜であった。


Photo by Yoshio Nakaiso

まず1番手を務めたのはCHAI。「C・H・A・I CHAI. We are Musicians. From Japan. Enjoy!」という機械音声によるアナウンスメントが流れるなかで登場した4人。

1曲目は「NO MORE CAKE」。ユナはドラム台に座るが、マナ・カナ・ユウキの3人はそれぞれの楽器の前に向かうのではなく、ステージの前方に横並びになってダンスを披露する。彼女らにはスポットライトは当たらず、その周りを青緑色や翡翠色の照明がゆったりと流れるように照らし出す。2曲目に「ACTION」を披露するときにはユナもダンスに加わり、アレンジされた衣装を着飾る4人がフォーメーションダンスを踊りながらしっかりと歌ってみせた。

2曲ともにBPMの遅いダンスポップナンバーということも相まって、バンドセットがあればバンド演奏をやるであろう……という当たり前の予想を裏切るような出だしに、この日彼女らを初めてみた方は虚を突かれたかもしれない。

「今日は来てくれてありがとう! 待ちに待ったZAZEN BOYSとのライブです! 楽しんでいってください!」と元気よくMCし、マントを一旦脱ぐと、まるで妖精のような衣装を見せてくれた。


Photo by Yoshio Nakaiso

そこから「IN PINK (feat.Mndsgn)」「Nobody Knows We Are Fun」「チョコチップかもね (feat. Ric Wilson)」と披露していく4人。シンセサイザー2台を生かしたエレクトロポップが続いた。緩やかでメロウなサウンドとマナ・カナ2人のボーカルにはうまくエフェクトがかかって会場に響き、観客を魅了していく。ここまで3rdアルバム『WINK』でのモードで盛り立てていった内容ともいえよう。

ユナがサンプラーを叩いて「C・H・A・I」と4文字で8ビートを叩いていくと、徐々にヒップホップライクなビートへと変わっていく。そこからメンバー4人がラップで自己紹介、「クールクールビジョン」「END」をたたきつけていく。「PING PONG!(feat.YMCK)」を披露した後、「みんな楽しんでる? 次の曲はね、ライブで初披露!」と語って演奏したのは「まるごと」だ。


Photo by Yoshio Nakaiso


Photo by Yoshio Nakaiso

ブギー&ディスコチックな1曲であり、『WINK』で得たフィーリングをより深めたような1曲で、ここではシンセサイザーは登場せず、ギター・ベース・ドラムで演奏され、マナ・カナがメインボーカルを務めていた。

マナとカナの2人はライブ直前の4月15日に誕生日を迎えたばかり、MCでは「今日は久しぶりに日本でのライブなの! それがZAZEN BOYSとのライブなんで物凄いスペシャル!」と話したように、この日のライブには色々な意味で気合が入ったであろう。

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Photo by Yoshio Nakaiso


Photo by Yoshio Nakaiso

ラスト2曲に披露したのは「Donuts Mind If I Do」「N.E.O.」の2曲。3rdアルバム『WINK』でのシンセポップを生かしたメロウさ、1stアルバム『PINK』が滾らせていた爆発力、それぞれを代表する2曲でライブをしっかりと締めた。


Photo by Yoshio Nakaiso

シンセポップ、ヒップホップ、ロックと横断しながら、「歌って、踊って、演奏する」というパフォーマンスで、コロコロとサウンドも演奏形態を変えていってもいっさいダレることがなかった。間口の広い音楽性、彼女ら4人のオープンかつ明るいムード、それらを突き詰めるパフォーマンス力、それらが世代随一のオリジナリティとオルタナティヴな表現を得た理由なのだと改めて突きつけるライブだった。

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