レイザーラモンRGとオカダ・カズチカが語る、世代とジャンルを超越したレッチリの「今」

 
レッチリと長州力

―バンドを長年続けていくことの難しさをそれぞれの立場に置き換えてみるとどうですか?

オカダ レッチリにジョンが戻ってきたみたいに、プロレスでも一度離れても心はつながっていて、またどこかで再会するっていうのはあると思います。


Photo by Kentaro Kambe

RG 上の人たちもいっぱい戻ってきてますもんね。

オカダ そうですね。長州さんなんて何回出ていって何回戻ってきてるんだっていうぐらいなんで(笑)。そういう意味で長州さんはジョンみたいなところがあるかもしれないですね。

RG ああ、そうか~。

―お笑いだとどうですか?

RG やっぱり、長年続いてるコンビはやっぱりすごいですよね。ダウンタウンさんもそうだし、ずっと大衆にハマってるっていうのはすごい。レッチリだってもうおじいちゃんでしょう?

―ジョン以外は今年で全員60歳以上です。最年長のチャドが61歳。

RG ええ~。チャドとフリーという土台がしっかりしているのは大事ですね。

―そんな4人が今回リリースする『Unlimited Love』ですが、現在(※対談時点)配信されている3曲「Black Summer」「Poster Child」「Not the One」を聴いてみてどうですか?

RG まだまだ若い音を出してますね。

オカダ 僕はもう、「あ、レッチリだな!」って。ジョンが戻ってきたということも大きいのかもしれないですけど、すんなり入ってきましたね。3曲ともゆっくりな感じだし。







―今作は奇しくも『Stadium Arcadium』以来16年ぶりとなるジョンの参加作品なんですよね。この作品についてメンバーは「これは僕たちの人生をかけたミッションだ」と話しています。これを言える熱量ってすごくないですか?

RG そうですね。めっちゃいいセッションができたのかなあ。だって、17曲(日本盤はボーナストラックを含めて18曲)も入ってますもんね。

―日本盤は収録時間が74分もあるんですよ。ジャンル問わずどのアーティストも曲を短くして、曲数を少なくしている時代にその真逆を行っているのはうれしいですね。

オカダ 僕、短い曲があまり好きではないんですよ。「もっと聴いていたいのにもう終わっちゃったよ!」みたいな。だから1曲をしっかり堪能できるのはありがたいですね。

RG あと、時代によってEDMとか流行りの音楽はあるけど、レッチリはそこに一切頼らないのがすごい。

―一時期ロックの人気が落ちてましたけど、最近また盛り上がってる感じがしますよね。

RG 僕、ロックはなくなると思ってたんですよ。3〜4年前にWOWOWでサマソニを観てたらDJの人ばっかでバンドがいないと思ったこともあったし、これじゃあ楽器を手に取る人がいなくなるんじゃないかって。でも、最近は音楽専門学校にバカテクのドラマーとかベーシストがいっぱいいるみたいだし、「Can’t Stop」弾いてみた動画でも中学生がバチバチに弾いてるんですよ。レッチリは「楽器を弾きたい」って気持ちを今も刺激してくれてるんだと思います。

オカダ YouTubeが身近になったことも大きいのかもしれないですね。僕もベースやろうかな……。

RG おっと!?

オカダ 実は僕も中学生の頃にベースやってたんですよ。

RG へぇ~! 


Photo by Kentaro Kambe

―ところで、オカダさんは最近どんな音楽を聴いてるんですか?

オカダ TWICEですね。あとは、スティングとか。

RG ベース、超好きじゃないですか。

―TWICEの次にスティングが出てくるんですね。

RG いま、若い人たちはジャンルで音楽聴いてないんですよ。

オカダ たしかに好きなジャンルを絞って聴くってことはないですね。

RG 我々はジャンルにこだわってる老害だけど、いまはサブスクとかYouTubeで好きな曲をバンバン聴けるからTWICEからクイーンまで同列に語れる。

―じゃあ、「それを聴いててなんでこっちは聴いてないの?」とか言ったらアウトなんですね。

RG そうなんですよ。TWICEも好きだし、レッチリも好きっていうのが今ですよ。

オカダ 僕は今どきの人間なんですね(笑)。

RG いま何歳でしたっけ?

オカダ 今年35歳です。

RG 全然今ですね。

―この作品がきっかけのひとつとなってまたロックが盛り上がったらいいですよね。日本だとレッチリのメインのファン層は今40代ぐらいなので、家族みんなでライブを観に来るっていうこともあり得るし。

RG そう考えるとサザンオールスターズみたいなところがありますね。笑える要素がありつつ、悲しい歌もつくるっていうところも同じだし

―でも、数年前にイギリスで彼らのライブを観たとき、若いお客さんがめちゃめちゃたくさんいたんですよ。

RG 「By the Way」の大合唱してました?

―してましたしてました。我々が思ってた以上にレッチリは全ての世代が一緒になって大合唱しちゃうようなバンドなんですよ。

RG 若いファンもいるのか。

オカダ 長州さんと藤波さんの試合を観て若い子がキャーキャー盛り上がっているみたいなことですよね(笑)。

一同 (笑)。

RG まさにそうです(笑)。長州さんは「飛ぶぞ」でもてはやされたし。

オカダ そうですね! チャドも藤波さんみたいな感じで。

―レッチリとは関係ないですけど、長州さんの「飛ぶぞ」のムーブメントっておふたりはどう見ていましたか?

RG プロレスラーにかぎらず、すごい経験をしてきた大人が時々ブレイクするじゃないですか、村西とおるさんとか。そういう人のひと言っていうのは強いですよね。

オカダ 僕は長州さんがすごく怖かったときのことってあまり知らないんですよね。お会いする機会もありますけど、僕にもすごく優しくしてくれますしありがたいですね。今ならちょっと冗談言っても許してもらえるんじゃないかなって(笑)。

RG まあ、レッチリは長州力ってことですね。

―あはは! では、これからのレッチリにどんなことを期待しますか?

RG 末永く元気でいてほしい、活動を続けてほしいっていうのはもちろんのこと、僕は『ボヘミアン・ラプソディ』みたいな映画が将来作られたらいいなと思いますね。レッチリもいろいろあったバンドなので。

オカダ 僕はレッチリはもちろん好きなんですけど、僕と同じ世代でレッチリに負けないぐらい僕を好きにさせてくれるバンドが出てきてくれたらうれしいですね。プロレスで言えば、今年新日本プロレスも旗揚げ50周年で、創設者である(アントニオ)猪木さんに追いつくのはいまからどれだけ頑張っても大変だと思うんですけど、僕はそこを目指してやってます。それと同じようにレッチリを超えるようなバンドが出てきて、そのバンドと一緒に僕は歳をとっていきたいですね。

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<INFORMATION>


『Unlimited Love / アンリミテッド・ラヴ』
Red Hot Chili Peppers / レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
ワーナーミュージック・ジャパン
発売中
https://RHCPjp.lnk.to/ULJPMe

01. Black Summer / ブラック・サマー
02. Here Ever After / ヒア・エヴァー・アフター
03. Aquatic Mouth Dance / アクアティック・マウス・ダンス
04. Not The One / ノット・ジ・ワン
05. Poster Child / ポスター・チャイルド
06. The Great Apes / ザ・グレイト・エイプス
07. It’s Only Natural / イッツ・オンリー・ナチュラル
08. She’s A Lover / シーズ・ア・ラヴァー
09. These Are The Ways / ジーズ・アー・ザ・ウェイズ
10. Whatchu Thinkin’ / ワッチュ・シンキング
11. Bastards of Light / バスタード・オブ・ライト
12. White Braids & Pillow Chair / ホワイト・ブレイズ・アンド・ピロー・チェアー
13. One Way Traffic / ワン・ウェイ・トラフィック
14. Veronica / ヴェロニカ
15. Let ‘Em Cry / レット・エム・クライ
16. The Heavy Wing / ザ・ヘヴィ・ウィング
17. Tangelo / タンジェロ
18. Nerve Flip / ナーヴ・フリップ ※日本盤ボーナス・トラック

 
 
 
 

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