アジカン後藤正文のサマーソニック談義 フェスの思い出と注目アクトを語る

後藤正文、サマーソニック((C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.)

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)がホストを務めるポッドキャスト番組『APPLE VINEGAR -Music+Talk-』が、今年3月よりSpotifyで配信スタート。つやちゃん、矢島由佳子、小熊俊哉(Rolling Stone Japan編集)というレギュラー陣に、ときにはゲストも交えながら、ユニークな視点で音楽トピックや楽曲を紹介している。今回は同番組との連動企画で、2大洋楽フェスをテーマに音楽談義。両フェスにまつわる思い出や、今年の注目すべき出演アーティストなどについて4人で語り合った。こちらはサマーソニック編。



後藤:サマーソニックは2000年から始まって、いまや20年以上の歴史を持つようになりました。実は2020年に予定されていたスーパーソニック(コロナ禍により中止)に、僕らも出るはずだったんですよね。The 1975とリアム・ギャラガーの前にアジカンというスロットで、僕らもブチ上がってたんです。それはさておき、サマソニはすっかり都市型フェスとして定着し、今年のヘッドライナーにはThe 1975とポスト・マローン。2組とも楽しみですね。スタジアムで観たら絶対いいだろうと。こういう旬のアーティストがタイムラグなく観られるのはいいですよね。

小熊:どちらも当初は2020年のスーパーソニックに出る予定だったんですよね。ずっとスケジュールを空けて、サマソニを信じて待ってくれたのは感謝しかないし、それだけでも好感度は爆上がりじゃないですか。

後藤:たしかに。ちなみに一応、同じく2020年に出る予定だった僕らも出演します(笑)。今年は大好きなUKのバンドと同じステージで、気分的にも嬉しいというか、クリエイティブマンの愛が感じられるスロットだと思いました。クーラ・シェイカーは「Hush」で一世を風靡した頃から大好きだし、元メンバーのジェイ・ダーリントンはオアシスのツアーサポートもやってたんですよね。そんな彼らや、プライマル・スクリームの『Screamadelica』再現ライブと同じステージに立つなんて、10代の自分に聞かせたら腰を抜かす案件ですよ。

小熊:いい話!




後藤:僕らは昔からクリマンによくしてもらっていて、2005年のサマソニでは、アジカン、カサビアン、ウィーザー、オアシスという順番だったんだよね。で、楽屋でほかのバンドと一緒にオアシスを観たんだけど、リアム・ギャラガーの声が全然出ていなくて。1曲目の「Lyra」の歌い出しとかもうカッスカスで、それを観たリヴァース・クオモが爆笑していたのを覚えています。

一同:(笑)。

後藤:あのとき、アジカンの「サイレン」をカサビアンのセルジオ(・ピッツォーノ)が褒めてくれたんですよ。サマソニは舞台裏の思い出がいっぱいあるな。デス・キャブ(・フォー・キューティ)の楽屋に行って、そのときの縁で元メンバーのクリス・ウォラに僕のソロ作をプロデュースしてもらったり。ティーンエイジ・ファンクラブの楽屋にも行って、その流れでノーマン・ブレイクのソロでの来日公演に前座で呼んでもらったり。これはバンドマン目線での話になりますけど、好きなバンドに声をかけてみるのはいいことだと思います。僕らも海外のフェスとかに出て、地元のバンドに話しかけられるのは嬉しい。


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小熊:お客さんとしてサマソニに行ったことは?

後藤:もちろんあります。2000年の第1回も行きましたよ。その年は富士急ハイランドでの開催で、ウィーザーやティーンエイジ・ファンクラブ、アット・ザ・ドライブ・イン、あとスナッグというウィーザー直系のバンドも出ていました。印象的だったのは会場が富士急なので、ステージ上のアーティストが時々「フジー!」って叫んだんですよ(笑)。その度に観客たちが苦笑いして気まずい感じになって。それがおもしろかったですね。

小熊:(笑)。その後は幕張に移って、ほとんどのサマソニ出演者が「トウキョウー!」とMCで叫ぶなか、律儀に「チバー!」と言ってくれる人もたまにいますね。

後藤:たしかに、東京じゃなくて千葉だもんね。幕張は東京近辺の人にとっては行きやすいし、帰りやすいし、海外のアーティストも安心するんじゃないかな。みなさんのサマソニに対する印象は?

つやちゃん:フジと比較してサマソニはトレンド寄りというか、その時代を反映したラインナップだという気がします。私にとって印象深かったのは2006年。ラウドロック系のバンドが流行っていた時期で、ヘッドライナーがメタリカとリンキン・パークだったんです。あとはマイ・ケミカル・ロマンスやデフトーンズも出演していて、当時のああいったロックの集大成として新旧織り交ぜた様々なバンドの出演が叶った年でした。サマソニは昔からラウド系に強いイメージがありますけど、もう一つの要素としてダンスミュージックもありますよね。2017年にカルヴィン・ハリスがヘッドライナーを務めたとき、クラブではガンガンに流行っていたEDMが、ついにロック系のフェスでも主役になったという感慨がありました。EDMカルチャーが日本でまだ終わらずに続いているのは、この年のカルヴィンの存在も大きいんじゃないかなと思います。

矢島:去年のスーパーソニックも、2日目のスティーヴ・アオキ、ゼッド、アラン・ウォーカーのスペシャルセットが爆盛り上がりしてました(笑)。

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