サマーソニック東京公演の出番前に、幕張メッセでマネスキンの現地取材を実施。日本中に一躍その名を知らしめたイタリアの4人組が、来日中のエピソード、ポスト・マローンへの共感とヒップホップからの影響、ロックバンドとしてのあり方について語ってくれた。【写真を見る 全17点】マネスキン、幕張メッセでの撮り下ろしフォト(記事未掲載カット多数)
豊洲PITでの単独公演とサマーソニック出演によって大旋風を巻き起こしたマネスキン。
その詳細はライブレポートに譲るとして、自分はバンドが放つ出音の凄まじさに度肝を抜かれてしまった。
弦のベースとは思えぬほどの重低音がファンキーに鳴り、ドラムのキックは鉄球のごとくズシンと響く。野外スタジアムでの演奏にもかかわらず、奏でられる一音一音が太くて輪郭も明瞭。そこにワイルドかつキャッチーな「口ずさめる」ギターリフと、ダミアーノの扇情的なボーカルが合わさり、
「ロックの持つダンス・ミュージックとしての快楽性や旨味を追求し、そのハイライトだけを詰め込んでしまったかのような」楽曲とアンサンブルが繰り出されたら、踊らずにいるほうが無理というもの。ここまで強靭なグルーヴは体感したことがなかったし、MARINE STAGEのアリーナ席は荒波のように揺れていたが、あんな光景を目撃したのも初めてだった。
早くも伝説と化したパフォーマンスを通じて、現代的なサウンドデザインにも改めて唸らされた。「ロックンロールの救世主」と謳われてきた彼らだが、上述したような音像やリズム感覚、ループを基調とした演奏、ダミアーノの歌い回しにはヒップホップの影響を感じずにはいられない。きっと4人がメインストリームを席巻し、国やジャンルや世代の壁を越えてセンセーションを巻き起こした要因のひとつでもあるはずで、機会があれば本人たちに訊いてみたかった。
さらにマネスキンは、今回の初来日で広く知れ渡ったように、狭量なロック観に縛られず、新しい世代ならではのアティチュードを体現し、
よりよい社会を形作るためのメッセージを発信してきたバンドでもある。そんな4人だからこそ、今の時代らしいロックバンドのあり方についても尋ねてみることに。
以下のインタビューは、ライブ開始の2時間ほど前に収録したもの。リラックスした雰囲気で応じてくれた4人との対話を、クールな撮り下ろし写真とともにお楽しみください。
左からイーサン・トルキオ(Dr)、ヴィクトリア・デ・アンジェリス(Ba)、ダミアーノ・デイヴィッド(Vo)、トーマス・ラッジ(Gt)
Photo by Masato Yokoyama–単独公演の途中で、ダミアーノが「進撃の巨人」の曲(「心臓を捧げよ!」)を歌ってましたが、もともとあの漫画が大好きらしいですね。どんなところが気に入ってるんですか?ダミアーノ:どのキャラクターが善人で悪役なのか、よく見てないとわからないところがいい(笑)。
ーあそこで歌おうと思った理由は?ダミアーノ:あの曲が心に刺さって忘れられなかったから。(歌うとしたら)あれか、『NANA』のサウンドトラックだった。
Photo by Masato Yokoyamaー実際に日本に来てみて、日本のファンの前でライブをしてみて、いかがでしたか。
ダミアーノ:びっくりするほど素晴らしかった。
ヴィクトリア:ヤバかったよね。周りのみんなが口を揃えて「日本のオーディエンスは静かで大人しい」と言ってたから、そういうノリを想定していたんだけど……全然エネルギッシュだった。むしろクレイジーなくらい(笑)。
ーダミアーノもMCでそう言ってましたね。ダミアーノ:うん、だってメチャクチャ熱狂的だったから。コロナ禍で混乱したルールがたくさんあるなか、観客はみんなエネルギーに満ち溢れていて、どこまでも行けそうだという気分にさせてくれた。
ーイーサンは拍手で煽ってました。イーサン:そうだね、そりゃそうさ。実際、盛り上がる客席を見ながら感激したからね。僕らにとって初めての来日公演なのに、3000人ものクラウドが一体となってフロアで踊ったり跳ねたり、手を掲げたりしていたんだから。あまりにも強烈だった。
トーマス:あんな経験をしたのは初めてだ(笑)。
ダミアーノ:またここに来る日が待ち遠しいよ。次はコロナ(の制限)を抜きにして、みんなで楽しみたいね。