音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。ヒップホップシーンにとどまらず、様々なジャンルのアーティストとコラボを経てきたラッパーのRyohu。約2年ぶりの2ndアルバム『Circus』には総勢13組のゲストが集結。これまでの歩みを凝縮したかのような多彩な作品に仕上がった。その背景にある創作哲学とは?Coffee & Cigarettes 40 | Ryohu 東京を拠点に活動するヒップホップクルーKANDYTOWN のメンバーとしても活動するかたわら、ソロ名義ではあいみょんやBase Ball Bear、ペトロールズそして朋友TENDREこと河原太朗など、多岐にわたるジャンルのアーティストとコラボレーションをしてきたラッパーのRyohu。10代からOKAMOTO’Sのメンバーらと組んだバンド、ズットズレテルズで名を馳せていた彼が、音楽に目覚めたのは小学6年生の頃。キングギドラの『最終兵器』を友人に聴かせてもらったのがきっかけだった。
「その前からレンタルCDショップで国内チャートの上位から順にアルバムを借りて、それをMDに入れて聴くなどしていました。でも、そういう行為自体が楽しかっただけで、音楽そのものにはそれほど興味なかったのだと思いますね。もちろんKICK THE CAN CREWやケツメイシのようなヒップホップのグループにも触れてはいたんですけど、『最終兵器』を聴いた時の衝撃は凄かったですね。今までと全く違う感覚というか、当時子供ながらにちょっと悪ぶりたい気持ちにもハマったのだと思います。そこからは、自分が好きな音楽を自発的に聴くようになっていきました」
Photo = Mitsuru Nishimura 国内のヒップホップはもちろん、当時日本でも大人気だったエミネムを入り口に、ジェイ・Zやスヌープ・ドッグなど海外のアーティストも掘り下げるようになる。しばらくはヒップホップ一筋だったRyohuだが、サンプリングソースを調べるなどしているうち、自然とブラックミュージックも聴くようになったという。