PUNPEEとBIMが語る、『焦年時代』制作の舞台裏、ライブへのこだわり

左からBIM、PUNPEE(Photo by Mitsuru Nishimura)

日没前と日没後が絶妙に混ざり合う状態の時間「MAGIC HOUR(マジックアワー)」の名を冠した新たな音楽イベント「MAGIC HOUR vol.1」が、2022年11月12日(土)大阪・なんばHatchにて開催される。同イベントはライブという空間で、あらゆる音楽が混ざり合いクロスオーバーすることで、観客のみならずアーティストも新たな体験とグルーヴ、音楽を楽しめる場を目指しシリーズ化していく。

今回、出演者の一人であるBIMと盟友PUNPEEにインタビューを実施し、両者が考えるライブの極意、この夏注目を集めたコラボEP『焦年時代』の話をたっぷり聞いた。

ー8月にリリースしたEP、『焦年時代』について聞かせてください。コラボEPという形ですが、どちらから声をかけたのでしょうか。

PUNPEE:去年の4月、BIMさんのツアー中に自分も客演として同行してたんすけど、そのときに、(SUMMITのA&Rである)レンくんがプロデューサーのRascalからもらったビートをかけてくれて。それが、スネアに鈴虫の音とか入ってて、メロウな夏の夜っぽい感じだったんです。「これ、めちゃくちゃいいって」ってとこから始まって、「夏の曲だったら2人で作れそうじゃん」という話になったんです。元々、去年の夏に作ろうと話していたんですが、あれよあれよと時間が経ってしまい、結局夏には出せず。じゃあ、来年まで温めようということになり。そのとき、ZOOMのスクショを添えて「2人で夏っぽい曲が出来たけど、来年に出します」というツイートをしたんです。



BIM  そしたら、そんなにリツイートされなくて。

PUNPEE もっと来ると思ったんだけどね……(笑)。そのあとゆっくりやっていました。

ー単曲ではなく、あえてEPという形を取ったのは?

PUNPEE 一年あったし、「BUDDY」がいい感じでありがたく話題になったので。でも一曲で自分達が表現できるかなーとも思ってたのでEPサイズになりました。(2人のコラボ曲も)数打ちゃ当たる系みたいに聞こえるかもですが(笑)。



―2018年にBIMさんの名義でリリースされ、PUNPEEさんがフィーチャリング・ゲストとして参加した「BUDDY」は、もはやイベントやライブでの定番になっていると思うのですが、あらためてBIMさんにとってはどんな曲ですか?

BIM あの曲で、一人暮らし出来るようになりました。

PUNPEE わははは、ほんと?

BIM マジです。俺、皆さんが思っている以上に、食えるようになったのは意外と遅めで、それまではルームシェアの家賃を払うのにもヒイヒイ言っていたんです。しかも、「BUDDY」をリリースした頃は本当に曲が出来なくて。ヘイターの心無い言葉をネットで見るにつけ、「こんなのでわざわざ心がすり減るのも、ダリいな」と思って、「音楽、もういいかな」って思っていたんですよ。あの曲も、昼から酒を飲んでベロベロになってレコーディングしたんですよ。最初に「シャッシャ」って音が入ってるの分かります?

PUNPEE 入ってる。

BIM あのとき、一軒家の3階に住んでたんですけど、隣のマンションから何か見られている気がして、カーテンを閉めた時の音がそのまま入ってるんです。

PUNPEE へえ〜。「シャッシャ」って音が入ってるのは知ってたけど、なんでかは分からなかった。

BIM 「あっちから誰か見てんな」って勘繰って。ネガティブな感じなんですよ。

PUNPEE ちょっとした「アル中時代」みたいな。

BIM 本当にそんな感じでしたよ。

―PUNPEEさんも、これまでに様々なコラボを経てきているわけですが、とりわけBIMさんと曲を作るのはどんな感じなのでしょうか。

PUNPEE 「BUDDY」を作った時点でも、それまでに6年間くらいBIMのことは知っていたので。BIMはOTOGIBANASHI’Sとしても活動していたし、SUMMITとも契約していたから、その関係性を知っているヘッズもたくさんいたと思う。そんな中、実際に曲を作るというのは、プレッシャーになるのかなとか思ったんすけど、「BUDDY」はさらっとできたよね。

―『焦年時代』の制作のプロセスは、どのように進めていったのでしょうか。

PUNPEE 2人で、「テーマを夏にしよう」と決めて。このタイミングで2人で作るんだったら、何かトピックがある方がいいかもね、というところから始めたんです。手元にあるビートを投げて、「これ使おう」と決めていき、そこからは早かったような。大まかに、「この曲はこういう感じ」というのは決めていきましたけど、あまり細かいやり取りはしてないですね。

BIM こう投げて来たからこう返す……みたいに作っていって。

PUNPEE 夏っていうテーマも普遍的だったので、いろんな「夏」の局面を出しやすかったです。めちゃくちゃ書きやすくて、ストレスなく楽しかったですね。

―全5曲、庶民的というか、聴いているうちに普段の2人の様子やリアルな生活感が伝わってくるような気がしました。 

PUNPEE お互い、大きいスタジオとかも使わず家で録ってるんです。例えば、こういうリリックが来たら、自分がこう書き直して、この要素が足りないから付け足して……っていうのを経て、1日のうちに出来ちゃうんですよ。だから、日常の中で自然と出てくるフレーズとかがあったのかも。

BIM 俺も、「すみません、洗濯物干したら録ってすぐ送ります」みたいな感じでしたし。


Photo by Mitsuru Nishimura

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE