My Little Loverの2年ぶりビルボード公演、色褪せない楽曲と真摯なメッセージ

 
楽曲に込められた真摯なメッセージ

ライブ後半はアップテンポな楽曲が続く。「理不尽な世の中でいろんなものが降りかかってくるけど、そんなことに惑わされず軽やかに生きてほしいなと思って作った曲です」と紹介したのは、通算8枚目のアルバム『そらのしるし』(2009年)に収録された「ちいさなロマンス」。ビートルズの「Day Tripper」を彷彿とさせるリフが印象的なナンバーだ。“今日という一日はどれだけ素敵な日になる?/君がどれだけ笑顔を魅せるか次第です!”と歌われる歌詞は、「笑顔の連鎖」をキーワードに活動を続けるakkoにとってマニフェストともいえるものだ。

続く「Survival」は、アメリカ同時多発テロの翌年にリリースされた15枚目のシングル。軽快なモータウンビートに乗せて歌われる歌詞は、当時アメリカで暮らしていた小林武史の心境が反映されており(“昨日のミスも9月の朝も/きっと乗り越えてゆく”)、「歌詞を書く時には多かれ少なかれ世界平和へのメッセージを込めている」と以前インタビューで語っていたakkoにとって、原点といえる曲なのかもしれない。


Photo by Masanori Naruse

そして、マイラバの2ndシングル「白いカイト」(1995年)へ。セカンドラインビートに乗って歌われる、高揚感溢れるメロディに再び客席からはハンドクラップが。間奏ではメンバー全員でソロを回すなど(akkoはピアニカを演奏)、楽しそうに演奏する4人の姿にこちらの頬も緩む。

間髪入れず、“一人一人が世の中にとって宝物だろうけど/人間が病の器だってとても分かる気がする”と歌う「ちいさな魂」を披露。「私は大きくて立派なことはできないし、マザー・テレサではないけれど、小さなことを、大きな愛でもってコツコツ積み重ねていくことはできます。そのためにも、自分自身に向き合って大切にしていかなければいけないことをつくづく思います」と挨拶し、雄大なフォークナンバー「アイデンティティー」を歌って本編を終了。鳴り止まぬアンコールに応え、「風と空のキリム」でこの日のライブを締めくくった。

その時その瞬間に込められた「思い」は、時を経て違う輝きを放つこともある。生きていれば、目の前の道を進み続けていれば、再び巡り合う縁もある。My Little Loverの色褪せない楽曲と、そこに込められた真摯なメッセージに耳を傾けながら、そんなことを考えていた。


Photo by Masanori Naruse

【画像を見る】『My Little Lover ☆ acoakko live winter quartet』ライブ写真(記事未掲載カットあり)



〈セットリスト〉
01. FANTASY
02. Shiny Shoe
03. 予感
04. 悲しみよ今日わ
05. スロウな恋
06. Hello, Again 〜昔からある場所〜
07. ちいさなロマンス
08. Survival
09. 白いカイト
10. ちいさな魂
11. アイデンティティー
※アンコール
12. 風と空のキリム

 
 
 
 

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