ガール・イン・レッドが語るアーティストとしての転換期、赤裸々な作風とセクシュアリティ

赤裸々な作風とセクシュアリティ、テイラー・スウィフトとの共演

―あなたの曲は徹底して率直なところが魅力で、それが愛される理由でもあります。あなたにとっては、そういう書き方がしっくり来るということ?

マリー:うん。私はそういう人間で、それがソングライティングのアプローチに表れているだけだと思う。そもそも自分のフィーリングについて語るのって簡単なことじゃない。例えばここに自分のガールフレンドがいたら、本人を前にして、直接彼女に抱いている複雑な気持ちを話すのは難しいでしょ? でもソングライティングって私にとって、信頼しているお友達みたいなもの。何でも心にあることを率直に言えてしまう。あと、これも大阪公演で起きたことなんだけど、自分が抱える不安について話をしていた時に、私の左のオッパイは右のオッパイよりもデカいってオーディエンスのみんなに教えてあげた(笑)。そういうことを話すのは全然抵抗がなくて。だってみんな左右のオッパイのサイズは違うし――あ、私のガールフレンドのはちゃんと左右同じサイズなんだけど、違っていて当たり前。人間ってコピペというか、究極的にはみんな同じだし、だからこそ隠し立てをしてもしょうがないと思ってる。

―なるほどね。セクシュアリティについても同じことが言えますよね。

マリー:インタビューとかではそんなに話さないんだけど、曲の中では確かにオープンに語っていて、それもやっぱり、その時々に自分にとって一番ナチュラルに感じられることをした――と説明するしかないかも。ただ、これまで曲を通じて自分のカミングアウトとかセクシュアリティに関する想いを細かく検証してきたから、ここにきてひと段落して、最近書いている曲ではそこまで言及していない。もちろんどの曲も私という人間から生まれる以上、常にどこかにうっすら漂ってはいるんだけど。


Photo by Kayoko Yamamoto

―ところで、あなたの流暢な英語を聞いていると、ノルウェイ出身であることを忘れてしまいそうになるんですが、自分について一番ノルウェイ人ぽいところって、どういう部分ですか?

マリー:うーん、具体的に言うのは難しいけど、育った環境の影響は間違いなく受けているから、私の在り様にノルウェイ人らしさはあるんだと思う。ただ、ノルウェイ人の中には他人になかなか心を開かない人が多くて、そこはどうなのかな。例えばみんなバスの中で周囲の人と喋ったりしない。私は逆に知らない人とお喋りするのが大好きなんだけど、だからと言って、無理に親し気に振る舞うってことはないのかも。あと、私の英語にもすごくノルウェイ人ぽいアクセントがちらほら残っていて、なんとかしたいなって思ってる(笑)。

―地元の音楽シーンはどうでしょう? 同輩と呼べるアーティストはいますか?

マリー:みんなそれぞれ音楽性が違うんだけど、まずオーロラがいて、あとはボーイ・パブロとか、シグリッドあたりが該当するのかな。私は、海外で最も成功しているノルウェイ人アーティストのひとりらしいんだけど、国内ではそこまでビッグってわけじゃない。早いところ、ノルウェイ人にも世界の基準に追いついてもらわないと!(笑)。


―このあと6月には、あなたが敬愛するテイラー・スウィフトの“The Eras Tour”で前座を務めますよね。心の準備はできていますか?

マリー:そんなの全然できてなくて、どんな状況になるのか皆目見当がつかない。とにかくその時までドキドキ感を維持するっていうのが、もしかしたら最適なアプローチなのかもって思い始めてる。みんなテイラーがお目当てだからオープニング・アクトを見に来てくれるとは限らないし、人がまばらなスタジアムでプレイすることもあり得るわけで(笑)、過剰な期待をするのも良くないんだろうけど。とにかくなんとかテイラーと対面して、握手して、「ハロー! あなたの大ファンなんです!」って伝えられたらうれしいかな(笑)。

―何かひとつ彼女に質問できるとしたら、何を訊きたいですか?

マリー:うーん……「コーヒーでも飲みませんか?」って訊きたい。もし「イエスと言ってくれたら、もっとテイラーとお話しできるでしょ?(笑)

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ガール・イン・レッド
レーベル移籍後初のシングル
「October Passed Me By」
再生・購入:https://lnk.to/girlinred-OctoberPassedMeBy

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