Mori CalliopeとJP THE WAVYが語る、異色コラボの裏側

左からJP THE WAVY、Mori Calliope

「ホロライブEnglish」に所属するVTuberでありつつ、2022年にはユニバーサル ミュージック内のレーベル、EMI Recordsと契約を結びメジャーデビューを果たしたMori Calliope。英語と日本語を交えたセンス溢れるリリックと、“死神”という彼女の世界観、日本のラップ作品にも影響を受けたという柔軟なフロウを駆使し、バーチャルな存在ながらも、リアルないちラッパーとしての立ち位置を確立しつつある。

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そんななか、満を持して昨年リリースされたメジャー1stアルバム『SINDERELLA』は、“10個の大罪(10 Deadly Sins)”をテーマに据えた意欲作だ。どこを切り取ってもパワフルなMori Calliopeの情熱が伝わってくるが、収録曲の一つ、「I’m Greedy」は気鋭のラッパー、JP THE WAVYを迎えたユニークな一曲。JP THE WAVYもまた、映画『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』に楽曲を提供したり、海外ラッパーらともの頻繁にコラボレートするなどワールドワイドに活躍するアーティスト。その二人がいかにして「I’m Greedy」を作り上げたのか? 今回は、両名による貴重なコラボ・インタビューが実現した。

−今回は、アルバム『SINDERELLA』にも収録されている楽曲「I’m Greedy」について伺いたいと思います。プロデュースを手掛けたのは、日本で活躍するラッパーのJP THE WAVYさん。まず、この曲のコンセプトはどのように決めていったのでしょうか。

Mori Calliope 「物欲について、あからさまに歌ってみる曲はどうだろう?」と思っていたんです。でも、それだとありきたりだなあと思って。わたしたち人間は、モノを買うと興奮するし、それがラグジュアリーなモノだったら尚更ですよね。私も、大体3カ月に一度くらいは高級ブランドの服などを時々買っていますが、買ったものはとても大切に扱っているんです。大切なのは、その欲望を自分が受け入れること。でも、そんな自分を甘やかしすぎてはダメ。貪(greedy)なことは悪いことではないし、「自分にはそんな欲望はない」という素ぶりをしている人はただ偉そうなだけだと思う。それが、この曲のそもそものアイデアでした。



ーこの楽曲をプロデュースしてください、と依頼を受けた時、JP THE WAVYさんは率直にどんなお気持ちでしたか?

JP THE WAVY Calliopeさんサイドから連絡をもらって、実際に曲を聴いたらめちゃめちゃ面白いなと感じたんです。日本語を第一言語としていないからこそのリリックのユニークさがあって、まさに「こういうのが聴きたかった!」と。なので、「じゃあ、(プロデュースを)やってみようか」と決めて。

ーもともと、こうしたVTuberのシーンは注目していましたか?

JP THE WAVY いや、僕は全然分かっていなかったんですけど、母国語ではない日本語でラップをやっていて、しかもこうしたVTuberという形で曲を発表している……って新しすぎるし、時代を感じますよね。個人的に、こうしたアーティストが出てくることはいいことだと思ってます。

ー逆に、Calliopeさんは前々からJP THE WAVYさんのことを知っていた?

Mori Calliope はい。自分がアンダーグラウンドで活動していた頃からJP THE WAVYさんの作品はよく聴いていました。私が遊びに行ったイベントでもWAVYさんの曲はよく掛かっていたし、「Cho Wavy De Gomenne」が流行った時は、多くのDJがクラブその曲を掛けていましたね。WAVYさんがプロデュースしてくれると言うことで、前からシーンにいる先輩たちからも「おめでとう」と言ってもらえましたし、私自身もとても感謝しています。まるで夢が叶ったみたいだし、昔の自分に「こんなことが叶ったよ」って教えてあげたい気持ち。



ー実際に、リリックを考えてレコーディング……というプロセスを経ていったのかと思うのですが、リリックを書くにあたってWAVYさんが意識した点はありますか?

JP THE WAVY Calliopeさんの歌詞って、日本語だけど、僕たちからしたら少し聞き馴染みのない言い回しとか、単語の使い方がユニークじゃないですか。僕が作ったことによって、より日本語っぽいリリックになってしまうと面白くなくなってしまうなあと思ったので、Calliopeさんのオリジナリティに寄せたリリックにしたいな、と思いながらリリックを書いていきました。かと言って、俺らしさがなくなるとつまらなくなっちゃう。そのバランスを考えながら曲を作っていったのは楽しかったですね。あと、日本人以外でも知っているような日本のフレーズを使うことに気をつけていました。

Mori Calliope WAVYさんが参加してくれて、やっと「I’m Greedy」がうまくまとまったという感じなんです。というのも、普段の私だったら「ここまで言ってもいいのかな?」とちょっと恥ずかしくなってしまうようなところも、WAVYさんが、きちんと表現してくれて、とてもリアルなリリックに仕上がったと思います。中途半端はなくて思いっきり書いてくれたんだな、と思って。そういう正直で堂々としているところ、尊敬しています。


Mori Calliope

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