ALI、すべてを失いかけた日々を乗り越え、辿り着いたツアーファイナル「音楽は最高だ」

「音楽っていいな! 楽しんでるかい?」とのLEOの語り掛けから始まったのは、山下達郎のライブでオープニングを飾ることでもおなじみの「SPARKLE」だ。ハワイの日系バンド、GREENWOODのカバーを下敷きにしたラテンアレンジでフロアに爽やかな風を送った。

声出しOKとなったこともあり、さまざまな声援がステージに飛び交う。その声を聴いたLEOは、「コロナ禍でのクアトロのライブで、声出しちゃいけないっていうのに声出した人、うちのかあちゃんだけでした(笑)。でもしょうがないよね」と和ませる場面も。多くの人が集まって声を出しながら音楽を楽しむ、以前は当たり前だったライブの光景を前に喜びが溢れているようだった。その後のMCでは「本当に楽しかった」と今回のツアーを振り返りながら、コロナ禍やメンバーの脱退などを経た現在について気持ちを吐露するLEO。「2016年にバンドを結成したのに、1stアルバムがやっと……2023年ですか今(笑)? お待たせしました! 嬉しいよ、本当に」との言葉に、会場中から大きな拍手が贈られた。「俺たち、すべてを失いかけたときに、それでも音楽があるって作った曲があります。みんなのために歌うので、聴いてください」。壮大なバラード「MY FOOLISH STORY」が披露され、静まり返った場内にピアノの音とLEOの声が広がっていく。やがてバンドが加わり再びピアノの打音とLEOの声で終わるドラマティックなハイライトシーンだった。


LEO(Photo by Saiga-nagi)

ライブ後半、ゲストとして呼びこまれたのはKAZUO。「Wild Side」でハイテンポな演奏に乗せて早口なラップで畳みかけ、続く「NO HOME NO COUNTRY」ではLEOと共にステージ前に出て泳ぐようなフロウを披露。Nadiaも加わり、どっしりとしたリズムと混沌としたサウンドに乗せた歌声、ラップが耳に残った。ダークな音像の「FIGHT DUB CLUB」を終えて「東京! ありがとう。大好きです」と言い残してKAZUOが袖に消えると、入れ替わりで再びAKLOがステージ上がり、すぐさま代表曲「LOST IN PARADISE」のミュートしたギターリフが始まった。熱い演奏と対照的にクールなようでいて、徐々に熱を帯びるLEOのボーカルとAKLOラップ。ステップを踏みながらプレイするCÉSARとLUTHFI、間奏ではホーンとキーボードがソロをリレーして、転調するサビで大きなカタルシスを感じさせる展開で、この日一番の盛り上がりとなった。

「死にたくなる夜を何度も乗り越えてきた俺たちだから、今こうやって、今までの人生で一番多いワンマンの人たちの前でこう思う。人生は美しいなって。ありがとう!」

そう言うと、「(BUT)WONDERFUL」を歌い出したLEO。繊細で穏やかなメロディから力強いサウンドへと繋がるアレンジは、彼らの今をハッキリと表現していた。「つらい日も、悲しい日も一緒に生き抜いていこう。また逢う日まで、音楽がお前たちのそばにいて、武器となって助けてくれますように。Life is Wonderful、and Beautiful!!」とLEOがメッセージを送り、本編は終了となった。

Rolling Stone Japan 編集部

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