男闘呼組メンバーを中心としたバンド、Rockon Social Clubがベールを脱いだ一夜


一際ヘビーなギターリフが鳴り響く「Rockon Social Club」に派手な照明がクロスオーバーしてステージを彩る。オーディエンスはクラップを目一杯鳴らしてバンドの登場を煽る。伝説的復活を果たした男闘呼組メンバーを中心とした、寺岡呼人プロデュースによるバンド・Rockon Social Clubがいよいよそのベールを脱ぐ時がやってきた。3月1日(水)にリリースしたばかりの1stアルバム『1988』を携え、1曲目からアグレッシブにそのスタイルを見せつけていく。ロックに教科書なんてものはもちろんないが、アタマの2曲「Foxy Lady」「Rolling Thunder Baby」では、そのタイトルでもわかるとおり、ロックの纏うオーラみたいなものをこれでもかと表現している。つまり、派手で、猥雑で、うるさくて、理由もなくカッコいいもの――ロックってそういうものだろ? 彼らの演奏から感じるのは、そんな単純明快な真理だ。

Devin Kinoshita(Key)、青山英樹(Dr)、そして、前田耕陽(Key)、岡本健一(G)、成田昭次(G)、高橋和也(B)、寺岡呼人(G)という豪華すぎるラインナップ。だけど「デビューライブだから! 50代の新人バンドです、ヨロシク!」と高橋が挨拶すると、オーディエンスから大きな歓声が上がる。

ミドルチューンからバラードまで、バラエティに富んだ曲がセットリストに並ぶのはそのままアルバムの充実度を物語る。プロデューサーの寺岡曰く、「去年までファンとして観ていて、もしアルバムを作るならこういう曲を歌って欲しいなっていうアイデアがたくさん湧いてきて、それを形にしました。だからこのアルバムは、僕も含めたファンの皆さんとRockon Social Clubのメンバーとのメッセージの交信のような作品だと思っています」

ロックバンドのバラードに名曲が多いというのは、ロックバンドあるあるだが、4曲目に披露した「Love Again」もその好例となる楽曲だ。

MCではアルバムのレコーディングの様子にも話が及び、まるで放課後にバンドに熱中するティーンのような無邪気さを見せる。ゴリゴリにカッコつけなくとも、自然体にロックができるというあたりもRockon Social Clubの大きな魅力のひとつになっている。



「自分の足で歩くんだ! 自分の頭で考えるんだ! 自分を見失うな! これがRockon Social Clubからのメッセージだ!」と高橋がシャウトして始まったのが、「ヨッテタカッテ」。今の社会の雰囲気をストレートに風刺したロックンロールだ。そしてラストは、昨年音楽番組などで披露して話題となった「パズル」。

「最初、俺のソロで歌ってたんだけど、でもこれ、4人で歌ったらすごいんじゃないかなと思って」(成田)
「俺たち4人を、そして俺たちと呼人さんを結びつけた曲です」(高橋)

メンバー、そしてオーディエンス全員の“あの頃”と“今”がひとつになり、また新たな物語を紡いでいく、そんな絆が見えたような気がした。

アンコールでは、「レコーディングの時から手応えを感じた」という「遥か未来の君へ」を披露した。ラストのコーラスでは、Little Black Dressもステージに登場してオーディエンスと共に歌唱した。ライブのある日常を絶やさない覚悟を同時に感じた今回のPartyだった。

text:谷岡正浩





<リリース情報>

Rockon Social Club
1st ALBUM『1988』
発売中

<ライブ情報>

KURE 5-56 PRESENTS ROCKON SOCIAL CLUB 1988
2023年5月6日(土)東京・東京ガーデンシアター
時間:開場16:00 開演 17:00
特設サイト:https://rockonsocialclub.com/live-556/

Rolling Stone Japan 編集部

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