FLOはR&Bの救世主となるか? UK新世代ガールズグループが語る素顔とルーツ

FLO(Photo by TAYLA DHYLL)

 
サマーソニックでの来日も決定しているロンドン拠点の3人組ガールズ・グループ、FLO。オールドスクールと現代のR&Bを融合させ、BBC Radio 1「Sound of 2023」1位とブリット・アワードのライジング・スター賞を同時受賞、初の北米ツアー全公演が5分で完売。勢いに乗る大型新人の素顔に迫ったインタビュー。

もし仮に、まだFLOの音楽を聴いていないのだとすれば、この1年いったいどこで何をしていたのか疑ってしまうだろう。ロンドンの3人組がデビューシングル「Cardboard Box」を(昨年4月に)リリースすると、ネット上に大きな話題をもたらした。ミッシー・エリオット、SZAからの称賛の声は瞬く間に拡散し、同曲のMVは今や800万回近い再生数を誇っている(今年4月時点)。

ファーストリリースとしてはかなりの出来だ。FLOのジョルジャ・ダグラス、レニー・ダウナー、ステラ・クアレスマは、レコーディング中のスタジオから電話をかけてきてくれた。彼女たちに率直な感想を伝えると、世間の人気ぶりに対して謙虚な姿勢だったが、本心では喜んでいる様子を会話から感じ取ってもらえるはずだ。「みんなが気に入ってくれたみたいでよかった、一安心よ」とジョルジャはご機嫌に話してくれた。



ポップ界の孤高、MNEK(エメニケ)が手がけた美しいサウンドは、まるでコンテンポラリーとノスタルジーを彷徨っているかのようだ。90年代後半から2000年代初頭のR&B黄金時代を彷彿とさせる「Cardboard Box」は豊かなハーモニーと力強いボーカルで構成されている。彼女たちの音楽は、もともとレトロだったわけではなく、子供の頃から耳に残っている音楽が自然と形を変えていったという。「スタジオにいる時に”ティンバランドのビートをやろう!”なんて思ったことはない」とジョルジャは話す。「ただ、私たちに一番影響を与えた音楽だってことはたしかね」

彼女たちは、自身の音楽的バックグラウンドと現代的なサウンドの融合を模索している。「私たちの音楽は90年代と現在のベストシーンを踏襲してるかのよう。パーフェクトなバランスだと思う」とステラは語る。「音楽が音楽として価値ある存在だった頃のニュアンスを取り入れて、みんなを驚かせたい」



20〜21歳の彼女たちは、生まれる数十年前に全盛期を迎えた音楽から影響を受けているという(インタビューの中でブランディ、マライア・キャリー、メアリー・J. ブライジ、フェイス・エヴァンスが好きだと話してくれた)。

事実、彼女たちに音楽の影響を与えたのは母親である。「ママに”iThunesで99ペンスの曲を買ってほしい”って、ねだってたわ」とステラは笑いながら話した。「だから、毎年私に『Now That's What I Call Music』のアルバムを買ってくれたの」

「そう!」ジョルジャも愛おしい記憶を確かめあうかのように続けた。「私が持っていたのは全部ママのおさがりだった、iPodもね。中身は全部アメリカン・オールドスクールR&Bソングだった」

「一番昔の記憶は、ママと車で聴いた音楽なの」レニーは記憶を辿って話した。「私とママは二人揃って歌詞を熱唱してたんだ。今思えば、それが私の音楽へ進んだきっかけになったんだと思う」

Translated by Natsumi Ueda

 
 
 
 

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