LEXが語る、新曲「Rico」に込めた意識の変化、ヒップホップ枠の中で体現するロックスター像

LEX

9月3日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催される『Rolling Stone Japan LIVE 2023』。出演者のLEXにインタビュー。最新シングル「Rico」をリリースしたばかりの彼の現在地点を探った。

【動画を見る】「Rico」ミュージックビデオ

15歳頃から曲を上げ始めたSoundCloudで人気に火が付き、2018年には『Captain Harlock』がバイラルヒット。若くして10代の憧れの存在となったラッパー・LEX。2019年からコンスタントにアルバムやEPなどの作品をリリースし続け、精神的に苦しい時期を乗り越えながらも、ストイックに、そして自由に制作を続けてきた。交友の深いJP THE WAVYが参加した「なんでも言っちゃって」は、TikTokを中心に世界中で大ヒット。ヒップホップファンの枠を超え、より多くの層の人々にLEXの存在が知れ渡った今、圧倒的な支持を集めつつも、21歳のLEXの“これから”はどうなるのだろうか。

ーまずは、LEXさんの2023年を少し振り返りたいのですが、今年は今のところLEXさんにとってどんな年でしたか?

LEX:いろんな国に行ってたんで、自分探しの期間ではあったっすね。

ー海外にはなにをしに行ったんでしょうか? 旅行?

LEX:旅行だけじゃなくて、10K ProjectsっていうIANN DIORとかICE SPICEとか、世界的なアーティストがいるレーベルの事務所を訪問したり、あとはStones Throwのスタジオも行きましたね。でもそういうところで挑戦することで、至らないところも感じました。環境が変わると作る音楽も変わりますし、すごいプレッシャーもありましたし、言語がまず通じないし。

ーどこの国に行ったんですか?

LEX:アメリカ、タイ、あと韓国。

ー言葉が通じないときは、どうやってコミュニケーションを取っていったんですか?

LEX:僕がこういうことをやりたくて、こういう曲にしたいっていうのを伝えるところだけがすごく難しくて。音楽って不思議なのが、その後のレコーディングで僕が歌を歌い出すと、やっぱり言語じゃない何かで通じ合うんですよね。だから僕がここカットしてほしいとか、ここをもう1回録り直したいとか言ってないのに、自然にそうなっていたりとか。言語を超えた音楽での会話を感じたっす。韓国ではKeith Apeにも会いましたし、彼もライブの後だったので深い話はできなかったんですけど、楽屋に招き入れてくれて。

ー韓国はヒップホップが日本以上に人気が高いですよね。

LEX:本当に韓国は街中やライブ会場で声かけてくれる人が多くて。すごい嬉しかったですね。でも同時に僕はバレたくないっていうのもあって。そういう意味ではやっぱLAとかタイの方がよかったんすけど。

ーなぜバレたくない?

LEX:やっぱり知られていると、こっちも構えるというか。だからタイとかでは普通に駅前とかで座りながらタバコを吸って歌詞を書いてるんですけど、そこでなんにも言われないっていうのがすごい好きだし。最初自分はそういうところから始まって、歌詞を書いてここまで来たんで、そういう環境がすごい好きですね。

でもいろんな国を回って、やっぱり自分のいるべき場所、自分の活躍すべき場所、そして自分が作り上げてきたものが日本にあるってことがわかったので、それは勉強になりました。同時に、逃げでもあったのかなって思いますし。

ー逃げっていうのは、海外に行ったことがですか?

LEX:そうです。海外に頻繁に行ったことが、日本で生活していて中で感じるプレッシャーからの現実逃避になってたのかなと少し思いますし。だから、できるだけ今は日本にいたいっすね。日本にいた方がやっぱりコンディションも作りやすくて、いい曲が作れます。

ー日本ではずっとご実家に住まわれているんですか?

LEX:実家からは引っ越しまして、今逗子の方に住んでます。でもこれは最近気づいたことなんすけど、地元から離れるってことは一から信頼関係を他人と築かなきゃいけないってことで。自分からしたら傷ついたこともたくさんありました。

ー傷ついたこと。

LEX:例えば新しくできた友達だと思ってた人にダイヤモンドを取られてしまって。それで逗子の家もめちゃくちゃになって、そこからやっぱり10年以上付き合ってる友達が一番信頼できると思いました。今は地元に戻ろうかと思ってます。最近は、朝、逗子の家で起きて、下の広いリビングに出て、誰に電話していいか分からない。今までは友達から朝電話がきて「起きろ」って言われて、「あ、今起きます、ちょっと待ってね」みたいな感じだったんですけど、それが引っ越してからなくなってしまったから。っていうことは、僕の楽曲制作とかもやっぱり感じが変わってきてしまう。そこは大きいですね。

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE