edhiii boi、傷も痛みも昇華し突き進むことを予感させる初ワンマンライブ

edhiii boi(PHOTO BY : SATOSHI HATA)

BMSGレーベルに所属する現役高校生ラッパー・edhiii boiが、11月18日(土)東京Studio Freedom、11月24日(金)大阪LiveHouseANIMAにて、初のワンマンライブ『満身創意』を開催した。チケットは両公演ともにソールドアウト。2024年1月26日(金)、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて、追加公演の開催も決定している。本ページでは、11月18日(土)のオフィシャルレポートを掲載する。人生初のワンマンライブであった本公演は、edhiii boiの多面的な魅力が凝縮された内容となった。

【画像】edhiii boi、ライブ写真(全8枚)

会場が暗転し、オリエンタルな音色と昂るビートが鳴り始めると、フロアからはクラップが湧き、「edhiii―!」「イェーイ!」などの声が行き交う。音が止まると次は雨音が流れて、照明が稲妻のように光る。そうしてオーディエンスの期待を高めたところで、パンキッシュなギターを突き刺し、ついにedhiii boiが登場。青と黒を基調にした衣装にシルバーネックレスやサングラスを身に纏い、マイクスタンドを前に両手を広げた姿は、ロックスターの輝きを放っていた。自身の登場を告げるように「edhiii boi is here」からスタート。そこからライブ全編を通してedhiii boiとは、ロックスターやラップスターの精神性を引き連れながらも、完全に新しいスター像を作り上げる存在であることを示していく。

☆Taku Takahashiプロデュースによる「Uiteru」、Iimori Masayoshiプロデュースによる「カメレオン」とつなげて、磨き上げた低音、1曲の中で次々と変わっていくビート、スキルフルに畳み掛けるラップで、フロアにいる全員の身体を突き動かしていく。「What’s up、東京!」と挨拶し、「僕、決めていることがあって。音楽では嘘をつかないということなんですけど」という言葉だけを挟んで、胸の内を吐露する「Non Fiction」へ。冒頭の3曲のように漲る自信をラップにのせて堂々とパフォーマンスしオーディエンスを圧倒させることも、その裏にある不安や恐怖を隠さずにさらけ出すことも、edhiii boiの魅力的な表現である。


edhiii boi(PHOTO BY : SATOSHI HATA)

「神戸からひとりで上京してもうすぐ2年になります」という話から上京した頃に書いた「TOKYO」、「コロナ、大変だったじゃん。でもこうやってライブができるようになってめっちゃ楽しい」という言葉とともに歌い始めた「Only God Knows」と、1stアルバムからの楽曲を続けていく。そして、この日バックDJを務めたYackleとともに作った「Higher Up」へ。アグレッシブなハイパーポップ調のトラックでオーディエンスの脳内をかき乱していく。《大人になるのが怖かったりもしている》ような10代の心の内に渦巻く混沌とした感情や、自由を手に入れようともがく様、そして身体から溢れ出る熱に、激しいビートミュージックが見事にはまり、そこにedhiii boiの矢継ぎ早のラップがのると曲自体に高い温度が宿る。しかし16歳である彼は、アルコールと抜群に合う音楽を作っていることにはまだ気づいていないのだろう。だって次に披露した「NO」では、《Smokeや酒はNO》とも歌っているのだから。

「NO」からは「友達」をテーマにした楽曲が続く。《俺がしたくてする事は教科書には載ってない》と自分のスタイルを主張したかと思えば、高校生らしく友達との日常も歌うのがedhiii boiである。「僕は『THE FIRST』というオーディションを受けて、3次審査で落ちたんですけども、日高さん(SKY-HI)にずっと音源を送って今日この場所にいます」と語ると温かい拍手が湧き、契約の決め手となった“Forever Friend”を披露。この曲の中で書いた《2年後俺はステージの上》という言葉は、今この瞬間に叶えてみせている。さらに「一人でご飯を食べるのがすごく嫌なので」とかわいい一面も見せて、ローカルカンピオーネによる振付がTikTokでバズり始めている「おともだち」へ。「友達って形だけじゃないから。まじで大事だから。みんなもお友達を大切にしてください」といったメッセージとともに、中華を食べきれなかった日のことや江ノ島に遊びに行った日のことを日記のように書いたラップを届ける。フロアからは合唱が起こり、edhiii boiもさらにテンションを上げて、新しいネックレスが壊れるほどの勢いでステージを駆け回る。

Rolling Stone Japan 編集部

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