キム・ゴードンが語る電子音楽とリズムへの傾倒、『バービー』、カート・コバーン、大統領選

「お人形の年」、カート・コバーン、大統領選

―直近で感動したアート作品は?

ゴードン:いい映画を何本か。それがアートに入ればだけど。『関心領域』はすばらしかった。

―『バービー』はいかがでした?

ゴードン:いいんじゃない。私は1959年に発売された初代バービーを持っていました。あの映画がそれを使ってフェミニストの熱弁をふるっても別に嫌じゃなかった。ケンが家父長制を発見するのはよかったな……笑えた。あの映画はもっとひどいものになっていてもおかしくなかった。チャーミングだったわ。とはいえ、あれはまるでマテル社がクールか何かであるかのように見せかけるけど、実際は単なる一企業よね。

―メディアがあの映画とテイラー・スウィフトとビヨンセを引き合いに出して、2023年は「女性の年」だと宣言したことについてはどう思われましたか?

ゴードン:「お人形の年」と言われているのも聞いたけど。ビヨンセやテイラー・スウィフトを悪く言うつもりはまったくない。だけど、ステージ上の彼女たちの姿は、ある意味で非現実的でしょう。どちらも完璧に輝けるものと化して。そういう理由で『哀れなるものたち』はとても好きでした。彼女は発達するにしたがって、女性たちがこの文化において経験してきたさまざまなステージを経験する。ホラー版『ピグマリオン』みたいな。


『関心領域』は5月24日より日本公開



―若い頃の自分にアドバイスをするとしたら?

ゴードン:もっと自分に自信を持つこと。深刻になりすぎないこと。

―後悔していることは?

ゴードン:両親が生きているうちにもっと一緒に時間を過ごさなかったこと。

―カート・コバーンが亡くなってもうすぐ30年です。彼との忘れられない思い出は?

ゴードン:信じ難いことだけど、そうなるわね。私の娘はその年に生まれて、いま29歳です。いまでも私の中に彼が笑って、ほほえんで、バックステージでふざけ回っている姿がすごくあざやかに残っています。そして、あのすごいライヴをやりながらドラムにぶつかっていく姿。本当にそれまで他に見たことがなかった勢いで。

―ニルヴァーナのグッズが最近よく売れているとか。

ゴードン:そうね。歩いていてニルヴァーナのTシャツを着ている人を見かけると思わず笑っちゃう。あの人たちは本当にニルヴァーナに夢中なのかもしれないし、一度も聴いたことがないのかもしれない!


Photo by Danielle Neu

―今年の大統領選に関して希望と不安は?

ゴードン:私の希望はバイデンが撤退してグレッチェン・ウィットマーみたいな人が入ってくること。私の不安は再びトランプとバイデンが当選すること。

―地元のカリフォルニア州知事、ギャビン・ニューサムの出馬に関しては?

ゴードン:彼は最悪ではないだろうけど、大統領になりたいのなら見た目を作り込みすぎてるのをやめなきゃいけないわね。髪型を変えるべき。

Translated by Momo Nonaka

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