THE ALFEEと甲斐バンドのデビューアルバムが象徴するもの、共通点と相違点を語る

田家秀樹

音楽評論家・田家秀樹が毎月一つのテーマを設定し毎週放送してきた「J-POP LEGEND FORUM」が10年目を迎えた2023年4月、「J-POP LEGEND CAFE」として生まれ変わりリスタート。1カ月1特集という従来のスタイルに捕らわれず自由な特集形式で表舞台だけでなく舞台裏や市井の存在までさまざまな日本の音楽界の伝説的な存在に迫る。

2024年4月の特集は、「新生活応援 周年アーティストのデビュー・アルバム」。今年記念の周年イヤーを迎える人たちがどんなデビューをしたのか、デビュー・アルバムではどんな音楽をやっていたのか、どんなことを歌っていたのかを渡り掘り下げていく。

こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」マスター・田家秀樹です。今流れているのは今日の1曲目、THE ALFEEの「夏しぐれ」。1974年8月25日に発売になったデビュー曲。この曲を聴いて、パッと曲名が出てきたという方は相当なALFEEのファンの方でしょうね。作詞が松本隆さんで、作曲が筒美京平さん。2人のコンビでの最初の大ヒットが、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」だったのですが、あれが出る前の年ですからね。

はっぴいえんど解散の翌年です。松本さんはまだ新人の作詞家。チューリップの「夏色のおもいで」をヒットさせた翌年ですね。作詞家として生きていこうかと決めた頃の作品であります。THE ALFEEのバンドの名前には、まだTHEがついていなかった。スペルもAFLIE、今とは違うんですね。そういう意味では有史以前の1曲というふうに言っていいのかもしれません。

夏しぐれ / THE ALFEE

今週は最終週。今年50周年を迎えるアーティスト、2組のデビュー・アルバムをお送りします。50周年ですからね、半世紀ですよ。20年前、30年前の音楽シーンではこんな企画は成り立たなかったでしょうからね。そういう感慨を新たにする最終週2組であります。

8月にシングル『夏しぐれ』でデビューしたのが、THE ALFEE。11月にシングル『バス通り』でデビューしたのが、甲斐バンド。アルバムのデビューはTHE ALFEEが翌年1975年7月の『青春の記憶』。甲斐バンドは1974年12月の『らいむらいと』で、アルバムのデビューとしては甲斐バンドの方が先なんですけど、世の中に出たという意味ではTHE ALFEEが先だったということで、今週は甲斐バンドの『らいむらいと』の聴き直しからお聴きいただこうと思います。なにはともあれデビュー曲「バス通り」。

Rolling Stone Japan 編集部

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