ダーティー・プロジェクターズが明かす、進化し続けるアンサンブルの背景にあるもの

―「Break-Thru」はどういう事を考えて作った曲ですか?

デイヴ:ドラムのトラックを作ってリズムをレイヤーをしていく中で出来上がった曲で、リズムを作ってそれをループさせて、そこにウーリッツァーを乗せて、ギターを乗せて、みたいな感じでやってたらできた曲だね。「ドラム・プラス・自分」って感じで、ドラムに合わせて作ったリフが元になってる。イメージとしては「土の中から顔を出す花」、もしくは「歌い合う鳥たち」だね。

―その花とか鳥の感じってジャケットにもありますけど、人工的なものじゃなくて、ある種の自然が持っている抽象性みたいなものを、この曲だけじゃなくてアルバム全体のサウンドに感じるんですよね。

デイヴ:うん、ネイチャーは僕にとっての宗教だからね。





―その一方で、「(I Wanna) Feel It All」では、ホーンが美しいハーモニーを機能的に奏でていたり、狙って不協和音を当てたりみたいなこともしてますよね?

デイヴ:前作は絶望からそれを受け入れて、自分が納得していく過程が描かれていた。今回は踊れる世界から白日夢の世界みたいなところにいるイメージなんだよね、その今作の中で「(I Wanna) Feel It All」は最も内省的な曲だと思う。これはピアノで書いたんだ。子供は人間の鏡じゃないけど、子供を見れば父親がわかるっていうか、そういう感じかな。要するに命は巡る的な、人間の命のスパンには浮き沈みがいろいろあって、その中には苦しみもあり、喜びもあり、それを全てを受け止めた自分を歌っている曲だね。

―なるほど。ところで、このアルバムにインスピレーションを与えた音楽はありますか?

デイヴ:たくさんあるよ。アンバー・マーク、ジ・インターネット、スティーヴ・レイシー、エンプレス・オブ、ケイティ―・デイビッドソン、ケンドリック・ラマーももちろん。僕は昼間に音楽を作って、夜になったら寝る。そんな感じで作業を進めて、あっという間に出来上がったのが『Lamp Lit Prose』なんだ。前のアルバムから継続して、1年半〜2年くらいほぼコンスタントに働き続けてるよ。実は、もう一枚のアルバムもすでに完成しているんだ。その話は来年しようか?(笑)。

―その次のアルバムは、前作と今作とはフィーリングが違う曲ができたから、次のためにとっておいたものって感じですか?

デイヴ:そうだね。料理しているときに2つの鍋があって、「こっちはもう少し火を通さなきゃ」みたいなものを出さずにとっておいた感じとも言える。

―ずーっと制作をしているんですね。

デイヴ:アルバムを作ってなくても、曲自体はいつも書いているからね。

―これは僕の印象なんですけど、今回の新作って、ダーティー・プロジェクターズの初期のころのアヴァンギャルドな感じに戻った部分もある気がしたんです。でも、それがすごく成熟してマチュアになったみたいな。

デイヴ:それは褒めてくれてるんだよね?(笑)。僕もそう思うよ。今までの音楽制作の中で訪ねてきた小島があって、今回のアルバムでそれらの小島をトントンって飛びながら、渡り歩いた先にある大陸に辿り着いたって感覚があるね。自分がやってきたことをすべて手にして、どこかに乗り移ったみたいなそんな感覚があるんだ。ダーティー・プロジェクターズが今までやってきたことのすべてを包括しているし、ダーティー・プロジェクターズが進化した先にあるアルバムって感じがしてるね。長い間活動してきて、単純に腕が上がったと思うんだ。ソングライティングやバンドの編成のしかたから、ギターやウーリッツァーの弾き方、ドラムの組み方まで。全てが良くなってきている。その手応えを今、すごく感じているんだ。

―最後に、あなたはきっとクラシック音楽も好きですよね? 例えば、ストラヴィンスキーとか。

デイヴ:うん、子供の頃は夢中になってクラシック音楽を聴いてたからね。少し学んでたこともあるよ。アレンジメントは少しね、マーラーとか勉強したよ。あまり優秀ではなかったけど(笑)。

―へー、マーラーですか。あなたがあの不協和音やノイズが好きなのはわかります。

デイヴ:そうそう。あのインテンシティーがいいよね!

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