著作権協会国際連合幹部が語る、ソングライターが抱える世界共通の悩みとは?

著作権協会国際連合(CISAC)幹部のジャン=ミッシェル・ジャール(Photo by Shutterstock)

国際的なクリエイターの権利団体である著作権協会国際連合(CISAC)幹部のジャン=ミッシェル・ジャールとガディ・オロンが、デジタル音楽を取り巻く問題について語った。

2018年、それまで見て見ぬふりをされ、大きな悩みのタネだった音楽の著作権問題にスポットが当てられた。ロイヤルティやライセンス・ポリシーの仕組みは相変わらず複雑だが、米国議会で音楽近代化法案(Music Modernization Act)が通過し、欧州では議論の的となっていた著作権ポリシーが全面的に見直されることになったおかげで、機能不全に陥っているロイヤルティやライセンスのポリシーが注目されるようになった。米国や欧州における著作権見直しの動きは、YouTubeなどユーザー主体のコンテンツ・プラットフォームのあり方を劇的に変える可能性がある。

著作権協会国際連合(CISAC/Confédération Internationale des Sociétés d’Auteurs et Compositeurs)は、音楽、文学、ビジュアルアートなど幅広い分野にまたがる400万人のクリエイターやパブリッシャーの権利を管理する世界最大の著作権管理ネットワークだ。CISACは、電子音楽のフランス人人気作曲家ジャン=ミッシェル・ジャールが代表を務める。ジャールは2018年10月第3週、同組織のガディ・オロン事務局長と共にニューヨークにある国連本部を訪れ、アントニオ・グテーレス国連事務総長と、クリエイターの権利の将来について話し合った。ローリングストーン誌はジャールとオロンを迎え、音楽のデジタル化とコンテンツの供給ばかりが重要視されるという、今日のアーティストやその他の音楽クリエイターが直面する最大の問題について意見を交わした。

ーEUが最近承認した著作権関連法案により、ユーザーのアップロードしたコンテンツを、YouTube等のサイトがより厳しく管理しなければならない可能性があります。この流れがアーティストやソングライターにとってのマイルストーンとなる理由は何でしょう?

ジャール: 欧州議会での勝利後に、昨日国連事務総長と会談できたことは、我々にとってとても重要な出来事だった。我々としては、この動きが連鎖的に世界中へ波及することを期待している。クリエイターたちは、インターネット上の重要な参加者たちへ不満や泣きごとを訴えようとしている訳ではない。我々は、クリエイター側とユーザー側の両方の世界をつなぐダイナミックでポジティヴな関係を築きたいと思っている。結局我々はとても近い存在だからだ。オーサーやクリエイターの権利を尊重して初めて、持続可能な発展を実現できるのだ。さもなければ、フォトグラファーやソングライターになりたいという子どもたちは、生活するために別の仕事を選ばなければならず、自分の夢を諦めざるを得ない。

オロン: 我々は今、グローバルな問題に直面しており、グローバルな解決策を必要としている。今、クリエイティブなコンテンツや音楽を利用するサービスを提供する主要プラットフォームは、FacebookやYouTubeがまだ存在しなかった20年以上前の古い法律を乱用している。それらの法律は、コンテンツや音楽を守る目的で作られたものではない。EUは、全てのデジタル・サービスを平等に扱い、ライセンスについても全員が同じ方法で交渉可能にするための大きな一歩を踏み出した。

ー音楽クリエイターが本当に求めているものに関して、多少の混乱が見られました。

オロン: 権利に対しての支払いを望まないサービスが、例えば「YouTubeを規制する法律は、世界における表現の自由を損なう」などという、規制法が与えると予想される影響について多くの誤った情報を拡散している。実際には規制法の効果はとてもシンプルで、「サービスの提供には音楽のライセンス取得が必要とされる」ようになるのだ。規制法は、YouTubeのようなサービスが、「自分たちのコントロール下にないサービスをホスティングしているだけだ」などと主張できないようにする。また同法は、ひとつの音楽サービスとしてサービス提供者にライセンスを取得させ、自分は無関係だという顔をさせないようにするものだ。

ー欧州議会による決定は、どのような影響を及ぼすでしょうか?

ジャール: 長い闘いだった。CISACが議員たちを啓蒙するのに約5年かかった。彼らはデジタル社会の仕組みについて先入観を持っていた。今世紀の初め頃、インターネットに対しては「全ては自由であるべきだ!」という新時代のヒッピー的な考えもあった。「クリエイターの権利を尊重すべき」という欧州議会の決定は、音楽の枠を超えてとても重要なシグナルとなる。権利を尊重しなければ、我々のカルチャーがどんどん弱まっていく。言論の自由を損なうなどという馬鹿げた主張をものともせず、欧州議会は権利の重要性を理解してくれた。

ー国連事務総長との会談は有意義なものだったでしょうか?

ジャール: 事務総長はとても積極的だった。彼は我々に、デジタル社会の問題に関するシンクタンク・グループへの参加を求め、協力していくためのプロセスを円滑に進めるための方法を話し合った。全てのクリエイターにとって大きなステップだ。

オロン: クリエイティブ業界の文化的・経済的要素に関連する全ての国連機関が関わって欲しいと思っている。

Translated by Smokva Tokyo

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