米中間選挙で民主党候補者がハッキングのターゲットに FBIが捜査を開始

DDoS攻撃とは、複数のソースから意図的に大量のデータを流してWEBサイトに過剰な負荷をかけ、機能を停止させるというもの。サイバーセキュリティ会社Cloudflareは、DDoS攻撃を「高速道路が大渋滞して、目的地にたどり着けない状態」にたとえている。サイバー攻撃を観察し、研究する専門家たちは、アメリカではこのような攻撃が選挙中や市民生活で日常茶飯事となりつつある、と言っている。「政治的発言や、有権者が必要な情報へアクセスするのを阻止するためにDDoS攻撃が使われています」。Google系列の団体Jigsawでプロダクトマネージャーを務めるジョージ・コナード氏は、5月にこのようなコメントを発表した。「政治団体、選挙活動、政治団体がますます標的となっています」

CloudflareのCEOマシュー・プリンス氏は先月ローリングストーン誌とのインタビューに答え、会社側では2016年以降こうした攻撃が増加していることに加え、ロシアによるアメリカ国内でのハッキングがあったことも把握していると述べた。

「2016年以前のアメリカ式民主主義は、ゆるぎない地位を与えられたかのように見えました。民主主義の芽をつぶそうとする従来の試みは、通用しなくなっていたのです。ですが2016年以降、せっかく開いた花も摘み取られてしまいました」

FBIでは、今後のアメリカ国内選挙への介入・操作を試みる動きへの対抗策として、対米介入対策特別捜査班を結成した。

南カリフォルニアでは2018年中間選挙の期間中、民主党候補に対するサイバー攻撃が何件も確認されている。ローリングストーン誌でも、親ロシア派でプーチン支持者として知られる現職ダナ・ローラバッカー共和党議員の対立候補として立候補した民主党ハンス・ケアーステッドが、たびたびハッキングの被害に遭っていたと報じた。そのうちのひとつは、ケアーステッドの個人メールのアカウントにスピアフィッシングアタックを仕掛けることに成功。その手口は、2016年にヒラリー・クリントン陣営の選挙対策責任者ジョン・ポデスタが受けた攻撃と類似している。また南カリフォルニアの別の選挙区でも、対立候補として立候補した民主党デイブ・ミンの選挙活動専用コンピューターがハッカーに侵入され、すぐさまFBIが捜査を開始した。

アメリカ現地時間19日には、法執行と安全保障をつかさどる4つの国歌組織、FBI、司法省、国土安全保障省、国家情報長官室が共同声明を発表。度重なる選挙への介入について、「ロシア、中国、その他イランを含む海外諸国によって進行している」とのコメントを発表した。セキュリティ専門家や政治コンサルタントによれば、公にはされていないが、2018年の選挙運動で多くのハッキング被害が報告されているという。

Translated by Akiko Kato

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