追悼スタン・リー:2014年インタビュー再録「アイデアがひらめいたら、少し時間を置くようにしている」

2013年7月19日、米カリフォルニア州サンディエゴで撮影されたスタン・リー(Photo by Michael Buckner/Getty Images for Samsung)


ー初回の悪役はマグニートーです。

そうだ、一番好きな悪役はマグニートーだと言おうと思ってた。X-MENが善良なミュータントだというアイディアも気に入っていた。悪いミュータントも勢ぞろいさせて、彼らにも彼らなりの言い分があることにしたんだ。人類はミュータントを恐れながらも憎み、彼らを排除しようとしていた。だから黙ってやられっぱなしというわけにはいかないだろう? 彼らにも戦う理由があった。
それに対し、プロフェッサー・エグゼビアは違いを超えて共存することを学ばなければいけない、と主張した。それは現在の私たちを取り巻く様々な思想を象徴していると思った。こうしたコンセプトと遊ぶのは楽しかった。一番大切なのは、いかに偏見が恐ろしいものであるかを示し、どれだけ違っていても共存し合うことが大切だと伝えることだ。これが主な目的だよ。スーパーヒーロー物には目的が必要だと言うなら。

ープロフェッサーXはどちらかと言うとマーティン・ルーサー・キング牧師で、マグニートーはマルコムXのような存在であると気付いていましたか? そこに明確な意図はあったのでしょうか?

間違いなく、それは無意識的な感情だったと思う。それに、私はマグニートーが完全な悪だと思ったことはない。マグニートーには彼なりの理由があった。その道が過ちであると納得させられるかどうかは、プロフェッサーXにかかっているんだ。

ー最終的に、公民権運動の隠喩がX-MENを定義づけるようになりましたが、それは最初の何号かにかけて展開していったものなのでしょうか?

X-MENとプロフェッサーXというキャラクターを思いついた瞬間から自覚していた。隠喩があるのはすばらしいことだと思った。それは贈り物だ。なぜなら、隠喩があることで勧善懲悪を超えた物語になったのだから。

ーまさか、マーティン・グッドマンに向かって「公民権に関する最高の隠喩ができたよ。これで子どもたちの心をワシづかみだ」なんて言ってないですよね?

きっと没になっただろうし、わかってもらえなかっただろうね。

ーX-MENの不思議な点は、1960年代の失敗作のような部分が少なからずあったところです。あなたが手がけたコミックのなかでも大ヒットというわけではありませんでした。

繰り返しになるけれど、もう覚えていないよ。あまりにたくさんのヒーローがいたからね。X-MEN、デアデビル、ファンタスティック・フォー、ハルク、他にもいるけど、忘れてしまった。アイアンマンやマイティ・ソーもいたね。ここだけの話なんだけど、1960年代のベストセラーがどれだったか、本当に思い出せないんだ。でも、『スパイダーマン』が一番人気だったんじゃないかな。なかなか思い出せない。

ー1960年代のX-MENへの反響とは対照的に、やがてこれほどの社会現象を引き起こすなんて、想像しなかったのでは?

まったくなかったよ。X-MENのキャラクターの誰かが今ほどの人気者になるなんて想像しなかった。そのほとんどは、映画化してくれた才能あふれる映画製作者のおかげだ。今の人々が映画で観たいと思うような要素がX-MENのキャラクターにはあったんだ。

ー最初にジャック・カービーが駆け込んできて、第1話を描いたのでしょうか? それとも、あなたからデザイン案を依頼したとか? 詳しく教えてください。

ジャックが駆け込んできて、描き上げたんだ。コスチュームから外見まですべてジャックがデザインした。私は彼の仕事が好きだった。1、2点だけ細かいところの修正を依頼したかもしれないけど、全体的な仕上がりが気に入った。私が思い描く物語をジャックに話したよ。その頃、完全なシナリオを書いていたのか、あらすじだけを渡してあとは好きなようにしてくれとジャックに言ったのか、もう忘れてしまったけどね。本を執筆したことがあるんだけど、しまった、タイトルが出てこない……『The Marvel superheroes(ザ・マーベル・スーパーヒーロー)』とかなんかだったな(実際のタイトルは『Origins of Marvel Comics(オリジンズ・オブ・マーベルコミックス)』。『Bring on the Bad Guys(ブリング・オン・ザ・バッド・ガイズ)』という続編もあるんだ。いずれにしても、その本で当時のことのほとんどを語り尽くしたよ。まだ記憶が確かだった頃に執筆したからね。

ー持ってますよ。しかもサイン本です。私に宛てられたものではありませんが。どこかで買ったんです。

これは驚いた。

ーボブだか誰かに宛てられています。

そうか、本をご存知か。それなら、詳細はそこに書いてあるよ。私はもう何年も読んでいないけど。

ージャック・カービーのイラストを見て「なるほど、マグニートーはこういうルックスなんだ。こんなヘルメットを被っているんだな……」という具合だったんですね?

マグニートーの仕上がりは最高だった。ヘルメット被り方がすごく気に入ったよ。

ージャックはそういうヘルメットを何度も使用しています。

まあ、所詮はヘルメットだから。

ー所詮はヘルメット、なるほど。1980年代に『X-MEN』はマーベル最大のヒットとなりました。

ほんとに?

ーええ。少しの間。

それはよかった。知らなかったよ。

ーそして当然の成り行きとして、人々はこぞって映画館に出向きました。『スパイダーマン』以前のことですね。

そうだ、初めて『X-MEN』が映画化された。ブライアン・シンガーが主演だったね。思い出した。私にも脇役として出演させてくれたんだ。たしか、ホットドッグ売りの役だった。

Translated by Shoko Natori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE