クイーン、フレディ・マーキュリーの知られざる10の真実

9. ツアーで留守にしている時はよく飼い猫へ電話を掛け、お気に入りの猫だったデライラのために曲まで書いた

控えめに言えば、フレディ・マーキュリーは猫好きな人だった。彼は生前、自宅で多くの猫を飼っていて、猫なしではいられなくなっていた。クイーンとして海外へツアーに出ている間はいつも、可愛がっていた猫と話すために自宅へ電話を掛けていた。

「ホテルに着くと電話を掛け、彼は本当に自分の猫たちに話しかけているんだ」と、ピーター・フリーストーンは回顧録『ミスター・マーキュリー』で振り返っている。「(親友の)メアリー(オースティン)がトムとジェリーたちを代わる代わる受話器に近づけ、フレディの声を聴かせていた。こんな感じで一年中続けていたんだ」

マーキュリーの最後の恋人ジム・ハットンが彼の邸宅ガーデン・ロッジへ引っ越してくるまでに、子どもたちはオスカー、ティファニー、ゴライアス、ミコ、ロミオ、デライラの6匹に増えていた。「フレディは猫を自分の子どものように扱っていた」とハットンは自著『フレディ・マーキュリーと私』の中で綴っている。「彼はいつも猫たちとじゃれ合い、フレディの留守中に何かあると、もう大変だった。日中の家や庭は猫の天下で、夜になると私たちの誰かが猫を呼び集めて家の中へ入れてやった」

ハットンは著書の中で、飼い猫のゴライアスが行方不明になった時のエピソードを紹介している。「フレディは半狂乱になって深く絶望し、美しい日本製の火鉢をゲスト用ベッドルームの窓から放り投げた」という。マーキュリーは迷い猫の発見に1000ポンド(約15万円)の懸賞金を用意していたが、幸運なことにゴライアスはその前に保護された。

「フレディは大喜びだった」とハットンは書いている。「5分以上も、見つかった猫の相手をし、抱きしめたり撫でたりしていた。そして、ゴライアスがガーデン・ロッジを出て行ったことに対し、まるで母親のように猫を金切り声で叱りつけていた。薄黒い色の毛皮のかたまりはじっと座ってフレディの説教を静かに聴いた後、ゴロゴロと大きく喉を鳴らした」

ハットンが“リトル・プリンセス”と呼ぶデライラには、特別な場所が確保されていた。「ガーデン・ロッジに住む猫たちの中で、デライラはフレディのお気に入りで、一番よく抱えあげて撫でていた。フレディと私が寝る時は、デライラも一緒だった。デライラはベッドの足元で寝て、夜中になると抜け出して徘徊していた」



マーキュリーは『愛しきデライラ』という曲を書き、この三毛猫に永遠の命を与えた。他のメンバーはこの曲に特に思い入れはなかったが、しぶしぶ受け入れた。メイは、特に嫌っていたトーク・ボックスを使ってギターで猫の声を表現した。「結局最後は屈服して、トーク・ボックスを使うことにした。トーク・ボックスが運び込まれると、俺は言った。“ニャオって声を出すには、これしかないようだな”」と彼は1991年、ギター・ワールド誌に語っている。同曲は、マーキュリーの生前最後にリリースされたアルバム『イニュエンドウ』に収録された。マーキュリーの当時の健康状態を考えると、「泣きそうな時にお前は俺を微笑ませてくれる/お前は俺に希望を与え、俺を笑わせてくれる…いい感じだ」という歌詞は胸に刺さる。

Translated by Smokva Tokyo

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