全米ライフル協会に潜入したロシアの「仲介工作員」、18カ月の禁固刑言い渡される

論告要旨は、ブティナ被告が「非公式のコミュニケーションルート確立という陰謀計画の一環として、銃所持権利擁護団体(NRAのこと)の幹部をモスクワに招き」、「ロシア工作員のはからいで、ロシア政府高官との会合の場を設けようと積極的に働きかけた」いきさつをまとめている。

論告要旨によると、NRAなど自ら築いたネットワークを通してブティナ被告は「次期アメリカ政権と通じることになると思われる個人との通信ルートを発掘しようとしていた」という。被告本人の手記によれば、こうしたルートが「アメリカ政府の意思決定プロセスに対し、迅速かつ効率的に影響を及ぼすことを可能にするだろう」と記述している。

現在進行中の犯罪捜査に彼女が大いに協力しているにも関わらず(元恋人で共和党の活動家ポール・エリクソン氏に対する捜査も含まれているもよう)、政府はブティナ被告に禁固18カ月を求刑したが、論告でこれを「非常に重い収監期間だが、他者への抑制と人民保護を十分に実施するために刑罰を与える、という政府の意思に沿うものである」としている。

最新スパイガジェットに興味のある方には、元FBI情報防衛職員の陳述書で興味深い意見が述べられている。「人物評価任務では、必ずしも秘密の暗号や情報の隠し場所、その他ハリウッドのスパイ映画に出てくるような仕掛けは必要ではない」と、アンダーソン氏。「事実、海外政府が行っている諜報作戦の大半は、一般に知られる意味でのスパイの“七つ道具”は使われていない」

アンダーソン氏は陳述書の中で、自らの「専門家としての意見」として、ブティナ被告の行動には彼が諜報活動の「基本要素」と呼ぶところの、人物評価任務の「典型的なパターンに合致」しているという。「例えば、彼女がロシア工作員に送った報告書には、人物評価任務で用いられるターゲット項目の特徴をすべて備えていた」

「ブティナ被告がロシア工作員を通じてロシア政府に渡した情報は、諜報機関には非常に大きな価値がある」とアンダーソン氏は締めくくり、さらにこう述べた。「ブティナ被告がロシアに提供した情報の少なくとも一部は、FBI情報防衛部の部長補佐に相当するロシア工作員の手に渡ったことは疑いようもない――さらに上の政府高官の目にも触れた可能性もある」

ブティナ被告の量刑判決は4月26日、ワシントンDCで言い渡される。

Translated by Akiko Kato

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