ジャック・ホワイトが語る、ザ・ラカンターズ再結成からディランとの交流まで

ーThird ManのVaultリリース用のホワイト・ストライプスの音源を聴き直す時、ノスタルジックな気分になったりしますか?

いつもカタルシスを感じるよ。自分はすごく幸運だったと思う。もし好きでもないキーボードを弾かされたり、趣味じゃない服を着させられたりしていたら、過去の作品を振り返るのはあまり気が進まないだろうけど、俺はそんな経験をせずに済んだ。俺たちが残した作品はほぼすべて、俺たち自身が望んで作り上げたものだ。ライブ音源を聴いて「あちゃ、こりゃいくら何でも走り過ぎだな。ライブの佳境で力み過ぎてたらしい」なんてことは時々あるけどね。でもジミ・ヘンドリックスのライブ音源にも走り気味で音程も狂ってるようなやつがあるし、そういうもんなんだと思う。大事なのはアティテュードなんだよ。

ーThird Manに来る若いミュージシャンたちにアドバイスするとしたら?

アーティストは決して不平不満をこぼすな、ってことかな。アーティストたるもの、他の誰よりも努力するべきだ。いつなんどきも自分を磨き続ける、それがアーティストの責任なんだよ。俺自身、一日中そのことを意識してる。その心構えが予め備わっていない奴には、俺がかけてやれる言葉はないね。

ー最近の曲で好きなものはありますか?

今年はロックンロールのアルバムが豊作だね。ザ・ハイヴスやザ・ブラック・キーズもそうだし、ヴァンパイア・ウィークエンドやトウェンティ・ワン・パイロッツのようなバンドが評価されているのも嬉しいよ。彼らのソングライティングは素晴らしいと思う。

ートウェンティ・ワン・パイロッツの名前が挙がるとは思いませんでした。

彼らのことは好きさ。サタデー・ナイト・ライブを観て彼らのことを知ったんだ。2人だけでパワフルな音を鳴らすバンドがまた出てきて嬉しかったよ。ピアノとベースっていう組み合わせもよかったし、何よりあのリードシンガーがいい。グっときたよ。弾けてる2ピースのバンドっていう点では、ロイヤル・ブラッドもイカしてると思う。

ーラカンターズの新作の制作期間はどのくらいでしたか?

俺たちの誰かが「アルバムを作ってツアーに出ようぜ」なんて切り出したわけじゃないんだ。「とりあえずスタジオに入ってみて1〜2曲作ってみよう」くらいの気持ちだったんだよ。でもみんなマジで気合が入ってて、俺自身もすごく刺激を受けた。ひたすらセッションしているうちに、気づけば30曲くらい手元にあった。このままじゃ曲が延々と増えていくと思ったから、ある程度に絞って磨き上げることにした。完成までにどれくらい時間をかけたのかは覚えてないけど、せいぜい数週間ってところじゃないかな。忘れちゃったよ。


6月にニューヨークのブルックリンにあるBaby’s All Rightで行われたザ・ラカンターズのライブ 
Photograph by Coen Rees for Rolling Stone

Translated by Masaaki Yoshida

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