サマソニ現地レポ Suchmosが幕張で挑んだ「攻め」のセットリスト

SuchmosのYONCE(Photo by Kazushi Toyota)



「来月スタジアムでやるんだけど、そういえば今日もスタジアムだったわ。このマリンスタジアムは、バレンタイン監督時代……つか、初芝清選手っていう俺が好きだった選手が現役だった時代に、試合を観に来て以来です。帰って来られて良かったです。じゃあまた、初芝みたいな選手が来てくれることを祈って」

と、90年代〜2000年代前半に「幕張のファンタジスタ」と呼ばれ、ファンに愛された野球選手の名を最後に挙げ、その場にいた多くの人たちの頭をでっかいクエスチョンマークでいっぱいにした後、「Hit Me, Thunder」を披露。「You Blue I」と同様、最新作『THE ANYMAL』に収録された8分半にも及ぶブルーズだ。赤いエレキギターを持ったYONCEがブルージーなインプロビゼーションを繰り広げ、そこにTAIHEIによるオルガンと、鋼のように打ち鳴らされるピアノが徐々に重なっていく。不協和音スレスレのフレーズが不穏な空気を漂わせる中、OKのドラムがゆっくりとリズムを刻み、ようやくYONCEが歌い出す。

“深い話は無しにしよう/ 分かり合えなくたって お前が好きさ/ 思想や言葉、傷の場所も違うけど/ お前が好きさ”

その瞬間、まさに曲名のとおり雷に打たれたような衝撃を受けた。この冒頭のラインを、まるで叫ぶように、祈るように歌うYONCE。彼の目に映っていたのは、まるでフェス向けではない“攻めたセットリスト”に戸惑うオーディエンスだったのか、それともここ最近、国内外で広がり続ける不寛容な空気だったのか。本当のところは分からない。が、破綻一歩手前の絶妙なバランスを保ちながら、6人で奏でる「Hit Me, Thunder」のメッセージは、まさしく“今、ここ”にいる私たちにとって切実なものであったことは間違いない。

半月後に開催される横浜スタジアムでのワンマンも、ますます楽しみになった。






RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE