サマソニ現地レポ あの場にいた人は誇るべき、フォールズが到達した圧倒的すぎる高み

3曲目にはデビューアルバムから「Olympic Airways」を披露。デビュー当時からライブパフォーマンスには定評があったものの、演奏のダイナミズム、掛け合いのスリリングさ、全てが噛み合って生まれるグルーヴ感と、ありとあらゆる面で目を見張るほどの進化が感じられる。今のフォールズほどに緊張感で張りつめたアンサンブルを叩き出せるバンドは、全世界を見ても数少ないだろう。サポートメンバーも含めた全員の実力が拮抗して鎬を削っていたが、特に出色だったのはドラマーのジャック・ビーヴァン。アグレッシブなプレイでオーディエンスを煽り、圧巻のテクニックでビートを司る姿には、ヤニスに勝るとも劣らないオーラが感じられた。


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今回のライブは、これまでにリリースした5枚のアルバムからほぼ満遍なく選ばれたセットリストとなっていたが、過去の楽曲ほど大幅なアップデートを実感できた。マスロック的と言われたデビュー時から時間をかけてフィジカルを増強してきたフォールズの歴史は、言わば理性と肉体のせめぎ合いの歴史。そのバランスは、今まさに理想的な状態にあるのではないか。音源とは全く別物に変貌を遂げたラストの「Two Steps, Twice」には、彼らが歩んできた10年間の全てが詰まっているように思えた。

気付けばデビューから10年以上が経過し、立派な中堅バンドとなったフォールズ。イギリスのみならず全世界でロックバンドが苦戦を強いられ、解散する同世代バンドも少なくない中で、彼らは着実に前進を続けてきた。情報のスピードが加速する一方の現代において、フォールズの現況は地味で話題性に欠けるように見えるかもしれない。しかし、その実直な研鑽の果てに、彼らは今、とんでもない高みへと到達している。ライブの最後、ヤニスは「すぐ、来年にはまた日本に戻って来る」と話してくれた。その時には、ぜひとも多くの人に彼らのライブの凄まじさを体感してもらいたい。




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