ホアキン以前のジョーカー役を格付け

スター・ウォーズで有名なあの俳優も

・マーク・ハミル

まさかと思うかもしれないが、ルーク・スカイウォーカー役で有名な彼を、1992年のTVアニメシリーズ『バットマン』の声優に起用するのは危険な賭けだったに違いない。だがハミルは、『スター・ウォーズ』からはまったく想像もできない神がかり的なサイコキラーぶりを発揮し、この悪役に新たな息吹を吹き込んだ。タトゥーインの農場からやってきた少年が、あれほど邪悪な笑い声を出すなど、いったい誰が思っただろう? これまでにも、ラリー・ストーチ(『スクービー・ドゥ』の中で登場)やケヴィン・マイケル・リチャードソン(黒人初のジョーカー)らがジョーカーの声を担当してきた。だが、90年代のアニメーション作品(当時のハリウッド実写版よりも何倍もすぐれている)や『バットマン アーカム・アサイラム』などのゲームソフトの中で、ハミルは群を抜いている。歴代2位の名演技だ。



評価:10点満点中9点


・ヒース・レジャー

『ダークナイト』が公開されたとき、ヒース・レジャーがこの世を去ってすでに6カ月が経過していた。彼の突然の痛ましい死は、ともすれば映画に暗い影を差したかもしれない。だが、「なぜしかめ面してるんだ?」という彼の演技は、歴代ジョーカー最大の伝説となった。死後アカデミー賞助演男優賞を受賞したが、スーパーヒーローもので悪役がオスカーを手にしたのはこれが初めてだった(ニコルソンとレトもオスカー俳優だが、別の作品で受賞した)。彼にはサディスティックで歯止めのきかない邪さ(よこしまさ)がありながら、瞳の奥に孤独な少年の哀しみをたたえていた。すでに有名な役柄を、彼は見事に自分のものにした。だからこそ、彼は究極のジョーカーなのだ。



評価:10点満点中10点


・ジャレット・レト

他界したヒース・レジャーがオスカーを獲得した直後に、この役に挑戦したレトは称賛に価する。初期のジョーカーの猿真似だからといって、彼を責めることはできまい。彼のジョーカーは、ギャング風の銀の入れ歯や入れ墨、とくにあの“damaged(キズもの)”という額のタトゥーなど、ジャスティス・リーグというよりはウータン・クランに近かった(レトが演じるジョーカーは、ジョーダン・カタラーノのように、誰にも理解されず哀しい眼をした青年にすぎない)。彼は『スーサイド・スクワッド』でこの役に新たな方向性を示したが、所詮は端役。マーゴット・ロビー演じるパンクなプリンセス、ハーレー・クインに悪役の座を奪われてしまった。



評価:10段階中5点


Translated by Akiko Kato

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