miletが語る歌の新境地、アジアでの経験とKing Gnuに思うこと

プライベートな青春の歌

―3曲目の「Your Light」は、一転して軽快なテンポの曲です。

milet:この曲は、「セッションはスピードだ!」みたいなノリで急いで作りました。だから歌詞にも勢いがあるし、サビも同じ言葉を繰り返している(笑)。

―でも、そのスピード感がいいですよね。EPのなかでもアクセントとして機能している。

milet:私の曲ってヘヴィなのが多いから、そんなに深く考え込まずに聞き流せる曲があってもいいのかなと思って。リズム重視で、作業しながら聴きたくなるような感じ。でも、しっかり聴くといい曲みたいな。そういうの、洋楽のポップスとかでも多いですよね。あとはEPの4曲あるうち、こいつがいないと世界が横に広くなりすぎかなって。こういう縦に刻んでくれる曲がいてくれると、すごくバランスがいいなっていうのもありました。

―そして4曲目の「レッドネオン」、この曲は最高ですよ。

milet:本当ですか。私も大好き!

―どの曲も最高なんですけど、まさかmiletさんがこういう形でプライベートな心境を歌うとは……そういう解釈で合ってます?

milet:うん、プライベートでしかない!

―(笑)こういう曲も書くんだ、とビックリしました。フォーキーで甘酸っぱくて、ほぼ日本語詞。

milet:これは昔、友だちと曲交換して遊んでた時期があって。その友だちに歌ってほしくて作った曲なんです。そのときちょうど私は免許を取りたててで、友だちと一緒にどこか遠くに行きたいなーと思って。そんなことを考えながら作りました。

―“高速乗って ほら 梅公行こうか”というくだりの「梅公」って、miletさんがここ数年行ってる、くるりの京都音博の会場ですよね。

milet:梅小路公園、このときはまだ行ってないんですけどね! 京都まで車で行くのはなかなか遠いなーと思って。運転を交代できたらいいんですけど、その友だちは免許を取れなかったから……。

―そんな青春エピソードを聞くと、"歌っていてよ 君の歌を/昔みたいに ただ思いつくままに”というラインが一層沁みますね。

milet:昨年末のフェスで一足早く歌うことができたんですけど、他の曲よりもこみ上げてくるものが大きかったですね。曲交換を通じて一回その友だちのものになって。その友だちが大事にしてくれた曲で、何度も何度も歌ってくれたみたいで。それがまた私に返ってきて、歌っているとその友だちのことを考えることができて……。COUNTDOWN JAPANのときは、その友だちが観に来てくれてたんですよ。ボロ泣きしてました。

―いい話!

milet:大号泣だったって。私も当時のことを思い出したりして、感慨深かったです。

―“何の変哲もないこと歌うけど、全部本当なんだ”って……なんですか、この最高の歌い出しは。

milet:本当ですね~(笑)。

―照れ隠しのようでもあるし、赤裸々なようでもあるし。

milet:やっぱり、歌だと本音が言えるというか。この歌詞のメッセージも、普段の会話だと友だちにも言うことができないようなことだけど……歌にするとそれも許されるような気がして。あと、歌詞の最後2行だけ返してもらってから付け足したんですけど、そのメッセージも好き。

―“I want you to have it all / I know that you’ll have it all”っていう。

milet:この曲をリリースするって決めてから、外に向けた曲にもしたいと思って。聴いてくれる人へのメッセージでもあり、願いを込めたものですね。

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