史上最強のA&R近藤雅信が語る岡村靖幸「色々な方に彼の論文を書いてもらいたい」

岡村靖幸の前作『幸福』と雑誌『ユリイカ』を持つ田家秀樹(左)と岡村靖幸の新作アルバム『操』を持つ近藤雅信(右)


田家:それではアルバム最後の曲「赤裸々なほどやましく」。

岡村靖幸 / 「赤裸々なほどやましく」

田家:悩ましくではなく、やましくですよ。岡村語ですから、この曲みたいに「36みたいに10から1引けば9になるから」って。これに先ず驚きました。それでいて「幅広く浮かんだイメージ描こう」とか、「何千の星みたいに光る証に命あるから」っていうヒューマンなことも歌われているわけで。この人の言葉の感覚は常人ではないなっていう(笑)。これを聴いて1人だけ思い浮かべた人がいるんです、桑田佳祐さんですよ。岡村語に近いボキャブラリーで、こういう音楽ですって簡単に言えないわい雑さ、雑多さ。その塊のようなエネルギーを持った楽曲。

近藤:本人、それを聞いたら喜ぶと思います。

田家:何が彼を突き動かしているんだろうっていう。

近藤:そうですよねえ、なんなんでしょうねえ。うーん。

田家:この「うーん」はずっと続きそうですかね。お聴きいただいたのは、アルバム『操』最後の曲「赤裸々なほどやましく」でした。



田家:「J-POP LEGEND FORUM」近藤雅信Part3。史上最強現役A&Rプロデューサー、株式会社V4Incの代表取締役・近藤雅信さんの軌跡を辿る1ヶ月。今週は最終週、41日に発売の岡村靖幸さんの新作『操』のご紹介でした。流れているのは竹内まりやさんの後テーマ「静かな伝説(レジェンド)」です。先週のお話の中に、僕が集大成で終わってしまったように思われたくないなって仰っていましたが、その長いキャリアの中で岡村靖幸さんと出会って、今一緒に仕事されているというのはどんな風に思われてますか?

近藤:レコード会社時代も含めて、やりたい人とできているので、それはラッキーだったなって思いますね。どの職種もそうかも知れませんが、この仕事って自分が盛り上がらないとうまくいかないと、思うので。音楽業界の人はそれぞれ興味や趣味があると思いますけど、僕の場合は殊更、興味がある人じゃないと仕事がうまくいかない感じがしているので、今そういう風に仕事ができているのは幸福だなと思いますね。

田家:今持っているものを全部使い切れるアーティストと一緒にやっている感覚はあるんですか?

近藤:若い頃は、そういう風に仕事してきたんですけど、そういう風に全身全霊でやると短いんですよ、燃え尽きちゃうから。今は持久走みたいなもので、レコード会社時代は、とにかく急ぎ働きだったけど今はどう伴走していくか、どう燃え尽きないようにしてしていくかっていうのがポイントだなと思ってます。

田家:岡村靖幸という才能豊かなアーティストをマネージメントできるのは僕以外にいないだろうと思われたり。

近藤:それはないですね。僕じゃなかったら違う見せ方になるでしょうし、それはそれでアリだと思いますよ。

田家:なるほど。岡村さんが最後の担当アーティストになるんでしょうか。

近藤:うーん、分からないですね(大笑い)。お互いに飽きなければ続いていくんでしょうし。お互いがお互いを選ぶ仕事ですから。

田家:それが大人の関係でしょうしね。ありがとうございました。



<INFORMATION>


田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソナリティとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

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月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
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Rolling Stone Japan 編集部

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