ピュアでフレッシュな愛の言葉ー壮大な人間賛歌である「Prover」から、「Until I Die」と続く14〜15曲目の流れも印象的です。初めてのアルバムなのに“Die(死ぬ)”って(笑)。milet:本当におかしいですよね。デモの時点からこのタイトルだったんですけど、どうしてこうなっちゃうんだろう。よくインタビューとかで「曲には今の自分がそのまま出る」って話してるんですけど、こんな物騒なこと考えてるのかって……まあ、そうかと納得もしつつ(笑)。
ーmiletさんがメタル好きだというのもうっすら連想させる、何とも力強い曲です。milet:強めで重めの曲も入れちゃおうと。普段はピアノかアコギで作ってるんですけど、この曲は最初からエレキで作っていて。実は初めてやってみたんですけど、エフェクターによって表情がどんどん変わるし、ピシッと決まった音が心地良くて浮遊感があって、ミステリアスでダークなんだけど、適温な気持ちよさのある音になったので面白かったです。今後はエレキでもっと作ってみたいですね。
ーONE OK ROCKのToruさんが新曲を2つプロデュースしていますが、アルバムのラストを飾る「The Love We’ve Made」はとりわけ感動的でした。milet:この曲は(Toruがプロデュースした)「inside you」と同じ時期に作ったんです。その頃、Toruさんのお友達に子供が産まれて、レコーディングの休憩中にその話をしていたら、思い出の曲を作ろうとなって。私はそのベビーちゃんに会ったことはなかったけど、ピュアでフレッシュな愛を想像しながら歌ってみたら、すごくピュアな曲になりました。
ー「この愛は私たちがつくったもの」という曲名には、そんな背景があったんですね。ラブソングのようでもあるけど、もっと広い意味で、慈しみ思いやる歌のようにも聴こえたので。milet:この頃はまだラブソングを歌ったり、素直に気持ちを伝えたりするのが恥ずかしかったんですけど、誰かのために作った曲というのを言い訳にして、“あなたの中で迷子になれて本当に幸せなんだ”みたいな照れくさい言葉を歌ってみようと。ベビーちゃんのパパとママにも喜んでもらえたみたいで、それは本当に嬉しかったですね。人の心に届く歌なんだなって。
ー素敵な話じゃないですか。milet:そこからアルバムまで温めてきた過程で、私の環境も大きく変わって。この曲のサビで“この愛は私たちが創り出したもので、私たち自身なの/そして今触れているこの愛は、私たちが共有してきたもの”と歌っているのが、デビューからの1年間に出会ってきた人たちや、私の音楽を聴いてくれるファンとの関係性と重なる部分もある気がしたんです。それで今回、このタイミングで出そうと。
ーこの曲は歌はもちろんだし、ギターの旋律もいいですよね。milet:Toruさんはそれこそ、子供に触れるようなタッチで弾いてくださって。普段はロックなギターをかき鳴らしているToruさんの優しい一面、ロマンチックな部分をこの曲で見ることができたのも嬉しかったです。