トラヴィスのフラン・ヒーリィが語る、「本物」を追求するソングライターとしての矜持

 
ここにある10曲は本物なんだ

―では、『10 Songs』というタイトルは、10曲全てに同じだけの重みと価値を与えていることを意味するのでしょうか?

フラン:うん。それもあるし、ソングライターたちに敬意を表していて、かつ、単なる“売り物”と何らかの意義がある本物の曲を、差別化したいという気持ちが込められている。フェイクニュースと真実を差別化するような感じだね。「ここにある10曲は本物なんだ」と。正真正銘のダイヤモンドであって、キレイにカットしたガラスじゃない。だから、すごくシンプルなんだけど、非常に深遠でもあって、それが伝わればいいなと願っているよ。たとえ長い時間を要するとしても。

―アルバムを締め括るのは「No Love Lost」という曲です。“愛は少しも失われていない”と、この上なくオプティミスティックで心強い終わり方だと思うんですが、書いた時に「これがエピローグだな」と確信したんですか?

フラン:そうだね。この曲には、3つのセットになっている箇所が幾つかある。3つの単語で構成されたタイトル然り、“No fear, no regret, no shame(恐れも、後悔も、恥もない)”という箇所然り。そして、窓ガラスをつたって落ちる3つの雫が出てくるよね。これは僕と妻と息子であり、3人の関係を表しているんだ。ほら、雨の日にバスに乗っていて、窓ガラスの表面で揺れている雨粒をじっと観察しちゃうことってあるだろう? 幾つかの雫がまるで競争するようにしながら落ちていって、途中でひとつになって、大きくなって、さらに一緒に落ちて、最後は消えてなくなるというのが、僕にとっては人生のメタファーにように思えたんだ。だからこの曲は、ほかの人たちとつながる運命だとか、人々が一緒に歩んでいく年月について歌っているんだよ。



―ちなみに、最近のあなたは常に真っ赤なジャンプスーツを着ていますよね。ビデオの中でも、インタビューを受ける時も。どんな意図があるんですか?

フラン:意図はふたつある。まず、去年一度黒いジャンプスーツを着てライブをやったことがあって、初めて思い通りに体を動かすことができたんだよね。僕はステージで結構動き回るから。それですっかり気に入って、今度は赤のジャンプスーツを見つけた。赤なら、ステージから遠く離れている人にも僕の姿がよく見えるだろうし、制服があれば毎回服装を考える必要もなくなるから(笑)、「これで行こう」と決めたのさ。そして、特にこのアルバムにぴったり合うイメージなんじゃないかと思った。赤は重要な色だし、これは重要なアルバムだから、赤いジャンプスーツを着ることで僕は、「ねえねえ、聴いてくれよ!」と訴えているんだよ。






トラヴィス
『10 Songs』
発売中
日本盤ボーナストラック1曲収録
2枚組となる日本独自仕様パッケージ
視聴・購入:https://silentrade.lnk.to/10songs

 
 
 
 

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