氷室京介の充実期、1990年代後半の作品を振り返る



田家:FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」2020年11月氷室京介還暦特集Part4。ゲストに、ポリドール・レコードのA&Rの臼井さんをお迎えしました。今流れているのは、後テーマ曲で竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。

1995年から2001年、20世紀から21世紀。そして、日本の音楽業界がCDやDVDの売り上げが一番多かった時期。音楽業界のバブルといってもいいでしょうね。ポリドール・レコードは当時、X JAPANやGLAY、スピッツなどたくさんのミュージシャンがいて、臼井さんはそういう諸々を担当されたわけですが、その中でも忘れられないことがたくさんあるのが氷室さんだなあ、と呟きながらお帰りになられました。

でも日本の音楽業界が浮き足立って派手に行こうとしている時に、氷室さんはアメリカに拠点を移して、自分が本当にやるべきことを一から始められた。当時のインタビューから、様々な形でお話しておりましたが、あのまま日本にいたら、1人で切符も買えないスター様に祭り上げられて、自分を見失っていただろうってう話はよくしていますね。そして、ロサンゼルスに行って一から暮らし始めて、自分の好きなミュージシャンを探してコンタクトを取って、デモテープを持って行って交流を持つようになった。群馬から東京に来た時みたいなんだよねと言っていたことがありました。その中で出会った人には、スティーヴ・スティーヴンスというギタリストもいました。

『MISSING PIECE』は、最後の1ピースが見つからない旅という絵本が元になっているわけですが、そういう最後の一片をずっと探していて、スティーヴ・スティーヴンスがそこにはまったんでしょうね。でもそこから、彼はまた次に行くわけで。またはまらないものがたくさん出てきて、21世紀になって再びレコード会社が変わって、東芝EMIに復帰、新たなビートを取り込むようになります。その話はまた来週。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE