マシン・ガン・ケリーが語る時代精神「ロックンロールにはロックスターが必要なんだ」

マシン・ガン・ケリー(Photo by Alexandre Faraci)


この時代にギターを鳴らす意味「今こそロックスターが必要」

―実際、ここ10年のメインストリームでは、ずっとロックに逆風が吹いていたと思います。フォール・アウト・ボーイも以前、『Save Rock And Roll』(2013年)という名前のアルバムを発表していましたが、あなたのなかにもロックやギターミュージックを救うことへの使命感があるのでしょうか?

MGK:もちろん。若者たちにはそれが必要だから。俺がある街でライブをしたとき、ラップのトラックに合わせてギターを弾いたんだ。その1年後、同じ街にまた戻ってきたとき、一人の若い観客がやってきて、人生で初めてギターを弾いてるアーティストを生で見たのが去年のライブで、それをきっかけに自分もギターを始めて、今も弾き続けてるんだと言ってきた。そのとき、俺がライブで提供しているのは音楽だけじゃないってことに気づいたんだ。彼だってその前から、ギターサウンドをかっこいいとは思っていたはず。でも、ギターを「弾くこと」の魅力はそれまで知らなかったわけだよな。ジミ・ヘンドリックスの曲は知らなくても、ギターを弾く彼の姿がいかに魅力的かを知ってる人ならたくさんいるだろう? ギターを持った彼のあのイメージは本当に印象深くて、人々にギターを弾かせたくなる。だから俺の髪型とか、痩せた体型とか、脚の広げ方とか、すっごい低い位置でギターを構えるとか、そのすべてが合わさったシルエットを見て、ギターを弾いてみたいと思うキッズたちがいるのであれば、「自分も同じことをしたい!」とみんなをインスパイアしたいと思うね。ブリトニー・スピアーズの二つ結びもそうだろう? あれを見て、女子たちがみんな同じ髪型をしたいと思った。自分よりも素晴らしいギタリストたちが山ほどいるのは百も承知だけど、俺はそんなこと気にせず、俺ができることをやる。俺はそのフィギュアの一人になりたいんだ。さっきの話に戻るけど、ロックンロールにはロックスターが必要なんだよ。

あと、ロックスターってのはロックミュージックだけに存在するわけじゃない。例えば、カニエ(・ウェスト)だってロックスターだと俺は思うんだ。彼は神であり、キングのような存在だろう? 人々は彼を見ることで何かを感じ取る。それがロックスターなのさ。ケンドリック(・ラマー)だってそうだ。彼が発信していることはリアルだし、彼の言葉で貧困や政治問題に触れることによって、この世界中、特に若者の世界観に大きな刺激を与えている。それこそが俺たちに必要な存在、ロックスターなんだ。



―たしかに、ポスト・マローンやダベイビーが「Rockstar」というヒット曲を発表しているように「ラッパーこそが現代のロックスターである」という見方は一理ありますよね。ロックとヒップホップを二項対立のように捉える発想自体が古いというのもその通りだと思います。では、あなた自身はどんなロックスターになろうとしているのでしょう?

MGK:それは俺じゃなくて、みんなが決めることだと思う。でも、ここ最近ジャンルというものがなくなってきているように、俺自身も可能性を広げていきたいんだ。ヒップホップ、ロック、クラシック……誰がどんな音楽を作ってもいいと思うし、例えばそれが「ヒップホップ」としては他のヒップホップ作品に敵わなくても、「ヒップホップを取り入れた新しい何か」として何よりも素晴らしいものになることだってある。

俺が映画(『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』)でトミー・リーを演じることが公表されたとき、「酷評するのが待ちきれないぜ」と言ってる連中がいた。そういう奴らは、一人の人間が様々なことが出来るという可能性を信じたくないんだ。何か自分が得意なことにみんな固執するべきだと思ってる。自分の限界を試すことを怖がっている連中がたくさんいるのさ。でも、俺は自分の可能性を制限したくない。だからこそチャレンジするんだ。もちろん失敗することだってある。それでもたくさんのことに挑戦してきた。自分の可能性を試すことにビビってなんかいられないよ。サウンドもそうだし、見た目もそう。ラッパーなのにモヒカンなんておかしいとも言われたし、「Netflixにもラジオにも出てくるってどういうわけだ?」とも言われた。それを疑問に思う頭の固い人たちもいるわけだ。でも同時に、それを見ている15歳のキッズだってたくさんいる。俺がそうしているみたいに、誰かが境界線を越えようとしている姿を見て「自分も怖がらないぞ!」って思ってほしいんだ。それに影響を受けた若者たちが、俺よりもすごいことをやってくれたら最高だよな。


『ザ・ダート』サントラに収録、MGKが参加したモトリー・クルーの新曲「The Dirt (Est. 1981)」

―モトリー・クルーは80年代のLAメタルを代表するバンドだったわけですが、ハードロックやヘヴィメタルといった音楽は、あなたにどんなインスピレーションを与えてくれましたか?

MGK:あの映画のストーリー自体から受けたインスピレーションの話になるけど、あの映画を見て、自分が何かを築き続ければ、それは必ず返ってくるということを学んだね。彼らは本当に小さいバーからショーをやり初めて、それがどんどん膨らみスタジアムでショーをやるまでになった。大きな目標を実現するためには、わがままだったり、狭い考えをもっていてはいけない。何かデカいことを実現させたければ、それに向かって自分に出来る全ての小さなことをこなし続けていくことが必要なんだということを、あの映画を通じて気付かされたよ。

Text by Toshiya Oguma, Translated by Miho Haraguchi

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