斧で夫婦を惨殺、犯行現場の屋敷に約2億100万円の高値がつく理由

斧で夫婦を惨殺、犯行現場の屋敷に約2億100万円の高値がつく理由

19世紀末、アメリカ全土で大論争を巻き起こした「リジー・ボーデン事件」。資産家として知られるアンドリュー・ボーデンと妻アビー・ボーデンが斧で殺害され、容疑者として末娘のリジー・ボーデンが連行された(アビーはリジーの継母にあたる)。その後、裁判で彼女は無罪となったが、真犯人は見つからず同事件は未解決事件として今に至る。

殺人事件のあった家は現在B&B・ミュージアムとして公開されている。そして今、その家が200万ドル(約2億100万円)で売りに出されている。

繊維製造の中心地として栄えていた米マサチューセッツ州フォールリバーの2番街230番地にあるこの家は、もともとは二世帯用の住居として建てられた。アンドリュー・ボーデンは1872年にこの家を購入し、1階と2階をつなげて自分の家族が住む大きな屋敷にした。彼がここに住んでいたのは1892年まで。居間で昼寝をしている最中に、斧を振りかざす何者かによって殺害された。スイートルーム2部屋、客室4部屋――そのうち1部屋はアビー・ボーデンが殺害された2階の寝室だ。

1893年に無罪放免となった後、リジーと姉のエマはフォールリバーの中上流階級向けエリア、通称「ザ・ヒル」にあったアン女王様式の大きな屋敷を遺産で新たに購入した。7つの寝室がある3935平方フィートの家を、リジーはのちに「メイプルクロフト」と名付けた。屋敷は最近改装されたばかりで、建築様式に合わせた家具を完備した状態で売りに出されている。メイプルクロフトの売りは6つの暖炉とステンドグラスの窓、そして秘密のメッセージが隠されていると信じる人もいる木彫りの炉棚(もっとも、購入当時からそこにあったのかどうかは不明。あるいは大量生産されていたもので、ショウルームかカタログで購入した可能性も高い)。

現在の所有者はいずれもドナルド・ウッズという実業家。両物件を扱う不動産業者スザンヌ・セントジョンさんによると(週のうち1日はミュージアム兼B&Bのツアーガイドも務めている)、昨秋からメイプルクロフトを競売にかけている。だが1月初めにボーデン宅が売りに出されて以来、メイプルクロフトに対する関心が急激に高まった。セントジョンさんいわく、購入希望者からの提示価格は200万ドル近くに上るという。希望者の大半は以前ここを訪れたことのある地元以外の人間だという。

ボーデン宅とメイプルクロフトは必ずしも抱き合わせで販売されているわけではないが、セントジョンさんは買い手が両物件を所有してくれたら、と期待を寄せている。「どなたかリジーの家――B&Bのほうですね――を買ってくださって、メイプルクロフトにお住まいいただくのが一番いいと思います」とセントジョンさん。「ですが今のところ、皆さんB&Bの購入を狙っていらして、メイプルクロフトの購入はそのあともしかしたら、という状態のようです」。現在、メイプルクロフトの売値は89万ドル(約9300万円)だ。

Translated by Akiko Kato

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