斧で夫婦を惨殺、犯行現場の屋敷に約2億100万円の高値がつく理由

ボーデン宅はニューイングランド随一の観光名所

『Parallel Lives: A Social History of Lizzie A. Borden and Her Fall River(原題)』の共著者で、フォールリバー歴史協会(リジー・ボーデンに関する資料、写真、遺物など世界最大のコレクションを所有する)のキュレーターでもあるマイケル・マーティンスさんにしてみれば、歴史協会がどちらの物件も購入できれば最高なのだが、現在の協会予算は不可能だろうと語る。「当ミュージアムが2つの物件を所有するのが一番しっくりくるのですが、経済的に無理ですね」とローリングストーン誌に語った。「ですので私としては、最終的に物件の所有者が誰であれ、願わくば事件や屋敷のニーズに同調してくださることを願うばかりです」

ボーデン宅と違って、メイプルクロフトのほうは商業物件ではなく、個人住居として販売されている。つまり、最終的にB&Bとして開業しようと思った場合、購入者は自らの責任で法的手続きを取らなくてはならない――セントジョンさん曰く、手続きには1年ほどかかるそうだ。

リジー・ボーデンB&B/ミュージアムは、ほぼ完全な造作付きで売りに出されている――当時の家具や内装はそのまま、ボーデン一家や殺人事件に関する遺物も残されている(唯一、数点のハリケーンランプと一部絵画は、宿泊施設のオーナーの私物なので除外される)。またもれなく「知的財産権」もセットでついてくる。セントジョンさんいわく、主に約60個のWEBドメインと複数のリジー・ボーデン関連のWEBサイトのことだ。B&B兼ミュージアムに付随する「リジー・ボーデン」という屋号と商標もこれに含まれる。

セントジョンさんによれば、所有者のウッズ氏が物件を売りに出すことにしたのは、ひとえに引退計画のためだ。決してCOVID-19に関連して業績が落ち込んでいるからではない。事実、たいがいのB&Bと比べてもかなり景気はいいそうだ。コロナで4カ月間閉鎖した後、ツアーも再開した。「ニューイングランド随一の観光名所です。リジー・ボーデンのことは世界中の人がご存知ですし、みなさん未解決事件にご興味がおありですから、いつか来たいと思っていらっしゃいます」とセントジョンさん。「ふつうのB&Bじゃありません――ニッチ市場であり、歴史そのものです」

だが一部の人々は、屋敷の訪問者全員が入場チケットを購入しているわけではないと信じている――この屋敷にはなにかが存在するのを探知した、と主張する幽霊探し番組がいくつもある。事実、セントジョンさん自身も経験者だ。「自分から探し回ったりしません――一応言っておきます。でも確かに、何かが起きるんですよ」

【関連画像を見る】アンドリュー・ボーデンが斧で殺された居間

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE