Mr.Childrenの「読むベストアルバム」と共に30年の軌跡を振り返る



FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」、音楽本特集Part3。2020年末に発売になった小貫信昭さんの著書『Mr.Children 道標の歌』を素材にしながら、Mr.Childrenの特集を送りしました。流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。

この「静かな伝説(レジェンド)」の歌詞に"語ってくれ彼の生き様を"という部分があります。“彼の生き様”なんです、“あなたの生き様”じゃないんです。音楽雑誌や多くのメディアは、“あなたの生き様”を語ってくれ、と、バンドやアーティストに求めますね。でも、本人たちには語れないこともあって、それは歌になっているので作品を聞いてくださいで終わることも多い。第三者だからこそ綴れることや書けることもあるわけです。

今月の特集Part1のTHE BLUE HEARTSは、本当に第三者でバンドに会ったこともない人が書いた本ですね。先週のRADWIMPSはスタッフという当事者が書いた。そして、小貫さんは両方のことが分かっている第三者なんです。バンドが何を考えていたか知っている、何があったのかも見ている、そして聞き手が何を求めているのかもわかっていて、その中間に立って書いている。本人たちも言えないようなことも、本人たちの気持ちを汲みながらそのエピソードを紹介している本です。

今回、小貫さんにゲストに来てくれと招待したのですが、喋るのが苦手、電話はもっと苦手なんで、好きにやってください、全部任せますから、ということでこういう内容をお送りしました。でも、いくつかメールでのやりとりはしたのですが、その中で写真がない本であるということは必ず触れてほしい、と言われました。これは編集者の人ともそういう本にしようと話をしたんだそうです。タレント本は写真があるけど、これは文章の本。読んでバンドを理解する。読むベストアルバムで、音楽の道標なんだ。だから写真は使わないようにしよう、というところから始まった本です、と言われました。それは僕も大賛成。文章、エピソード、言葉。それで音楽を語るというのは、こういうことだ、という本です。本を道標に音楽を聴く、そんな楽しみを経験してみてください。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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