宮川愛李が挑んだ再起動、SNSを離れ自分の歩幅で表現した1stフルアルバム

ー同じく収録曲の「わすれもの」では、「泣き虫な君のことが好きだよ」、「今会いたいよ」と、他の曲に比べると、ストレートな表現で愛情をぶつける歌詞じゃないですか。最近の邦楽の歌詞では、ここまでストレートに伝えるのって珍しいな、と思いました。この曲についてはいかがですか?

恋愛に限らず、好きな人や大事なものに対する想いって、そんなに複雑な言い回しで表現しないじゃないですか。好きなものは好きって言うし、会いたかったら会いたいってそのまま言うだろうなと思っていて。そんな複雑に組んで伝えられるほど、器用にいられないよなという想いがこもっています。これくらいシンプルな方が皆の耳にも入りやすいかな、って。

ー「lyrical」の歌詞は書いてみていかがでしょう?

今ってSNSを始め、情報量がとても多いじゃないですか。その中で、今時の若い子のどんどん巡っていく思考回路とか、流行やニュースも目まぐるしく変わっていく中で、考えることがどんどん増えていっていて。そういう中で若い人の思考みたいなものをイメージして作りました。意味があるようでないフレーズが頭の中を巡っていくイメージで作ったので、なんとなく頭に浮かんだフレーズをそのまま引っ張ってみたりとか。ちょっとアプローチはこだわって、面白おかしく作った曲です。

ーSNSで知名度を上げてきた愛李さんらしい発想の曲ですね。愛李さんと同年代の人とも共通しているものを考えて作っているんですか?

私もそうなんですけど、皆が頭でいっぱい考えている時代だと思うんですよ。クリエイティブで面白い人たちが増えていく中でも、例えば私は流行りの動画とかになかなかついていけなくて。でも、そこで流され続けていくとどこかで疲れてしまう、さみしさもあると思うんです。流されないためにも、自分の中でこれだ! っていうものを一つ持ってないといけないと思っていて。自分ってなんだろう? みたいな、漠然とした不安を消すためにも、音楽を通じて皆に表現できるものを作っていきたい。私もSNSで注目してもらったのがこの世界にいるきっかけでもあって。よくインフルエンサーとか、今若者の注目の的です、みたいな紹介をしていただくんですけど、自分ではそういう実感がないんです。私は自分で引っ張っていく主体性がある人間ではないし、若い人たちがそれぞれSNSを使ってどんどん個性を出していく中で、自分にとっての武器を私も探していて。

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