FAITHが語る変化の理由、バンドサウンドの「先」にあったポップスの世界

曲づくりのマインドセットが変わったきっかけ

―昨年リリースしたアルバム『Capture it』に収録されている「19」が、今作でも「CELSIOR COUPE Remix」として収録されてますが、この曲は面白いですよね。いかようにも生まれ変わるというか、これが新曲だと言われてもそのまま受け入れられるし、今後も違うバージョンがあったら楽しめそうだなと。この曲に対する特別な思いはありますか?

Akari:最初は空音くんにリミックスをしてもらったんですけど(昨年7月にデジタルリリースした「19(空音 Remix)」)、うちらが19歳のときに書いた「19」を空音くんが19歳のときにリミックスしてくれて、今回リミックスしてくれたCELSIOR COUPEさんは19歳ではないんですけど、『Capture it』の1曲として終わらせるんじゃなくて、これからも引き継いでいくことで今19歳の世代の方に聴いてほしいし、19歳だった自分を思い出してほしいし、いつまでも新曲みたいな曲であってほしいですね。



―それにしても、よくここまで変化できましたね。

レイ:プロデューサーさんが変わったことも大きいと思います。木﨑さんからはポップレコードをつくる上での考え方を伝授していただいて。FAITHの中では「木﨑塾」って呼んでたんですけど、なんなら曲をつくらないで「この曲はこうなっている」っていう会話をたくさんして。

ヤジマ:あと、服の話とかね。

レイ:そう、「音楽も服と同じなんだ!」という話を聞いたりして、その影響もあって曲づくりのマインドセットが変わったところはあると思います。あと、ちょっとしたミスをあとから修正するのはどうなのかっていうのはほかのバンドでもよくある話だと思うんですけど、その修正した感じがほしいならそれはありなんだっていう考え方ができるようになったりして、そうやってあらゆることを木﨑さんから教えてもらいました。

―そのほかに木崎さんの話で印象に残っているものはありますか。

レイ:“いい違和感”を目指すということですかね。違和感あるものに人は惹きつけられるし、ちょっと気持ち悪くないと人間はハッとしないっていう。その言葉は印象に残ってますね。それがこの『Sweet Error』というアルバムタイトルにもつながっているように思います。

―バンドマンのマインドを強く持ってる人は特に、レコーディングで弾き間違えたものをProToolsで修正することに抵抗があるじゃないですか。でも、必ずしもそれは悪じゃないんだよ、それでカッコよくなることもあるよということを学んだと。

レイ:今まではそれが悪だと思ってたんですけど、そうじゃないと出せないグルーヴもあるんですよ。あと、これまでは作曲して、練習して、レコーディングして、音を整えてリリースするという流れだったんですけど、今回はギターを録ったあとにその音をどう加工するかとか、どの部分をエディットして使うのかという作業が圧倒的に増えました。バンドサウンドをあとから加工してどう目指すポップスにするか考えるというのは前作から大きく変わったところですね。

―そうすると、各楽器の音づくりもあとから加工する前提で作り込んでいくという。

レイ:「この音はこうなる」って考えながらつくってましたね。

―参考にしたアーティストや音源はありますか?

Akari:参考っていうより、刺激という意味でいろいろあったんですけど、メンバーで共通していたのはアリアナ・グランデ、デュア・リパ、チャーリー・プースのサウンド感ですね。あとは歌い方とか声の出し方に関しても、私はこれまでライブハウスで歌う延長で声は張ればいいもんだと思ってたんですけど、それだけじゃないということがわかったし、静かに歌うことも素敵だということに気がつけたので、今後にも影響していきそうです。

―これまでFAITHは30年前ぐらいの音を鳴らしていたのに、一気に現代までアップデートしましたね。

藤子:タイムトラベルだ(笑)。

ヤジマ:まさに。

―こうなるともう、マインドは今にセットされますよね。

藤子:なんなら来年再来年ぐらいの感覚がいいですね(笑)。先を行きたい。

―ここまで大胆に新しいサウンドに取り組めたのは、ライブでの表現を考えないようにしたところも大きいですか。

レイ:それはけっこうあったかもしれないですね。ライブバンドというルーツからするとライブの臨場感をアルバムに収めるという考え方になりがちですけど、作品は作品として考えて、ライブで表現するときにどうカッコよくできるかというのはまた別にアレンジを考えてます。

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