ラフィンノーズ、40年間変わらぬパンク愛を爆発させた一夜

「SONG FOR U.S.A」、「SILENT DAY」など、どんどんラフィンノーズのライブは展開していく。「帰ってきたぜ東京! 今夜はお足元の悪い中、”春のワチュロウパーティ!”にようこそ!」とCHARMY(Vo.)が挨拶代わりに叫んで「CARRY ON PUNK」がスタート。まだまだ序盤かと思ったが、既に6曲目。ノンストップでライブが進んでいることに改めて驚かされた。同曲のサビではタイトルを連呼し、どんどん熱を上げていく。観客はこれでもかと拳を振り上げ、一緒に「CARRY ON PUNK!」と叫んでいるように感じられてしまうほどの盛り上がりを見せた。「R&R DESIRE」も続けて披露され、今の時代に不足しているロック魂をありありと見せつける。また、当日の公演中には「渋谷―!」、「皆元気かー!」と、数え切れないほどCHARMYが何度も呼びかけていることに気づいた。ステージの正面や、ともすればステージから見えにくい場所の客席の隅々まで顔を覗かせ、笑顔で手を振っている。彼自身も今日というライブを全力で楽しんでいる様子で、思わず見ている側も笑顔になってしまう。それとは対照的に、ハードな大音量のサウンドに負けないほどに、時には過激な歌詞も歌い上げる。そうした二面性もCHARMYというボーカリストの魅力の一つだろう。


Photo by JANIS CHIHIRO KUDO 

「BOTH SIDE FLOWERS」ではタイトル通り、ステージの両脇の花(PONとLINA)のボーカルの掛け合いも見せてくれた。9曲を披露したところでようやくショートMC。ここまでの勢いを止めたくないかのように挨拶を手短に済ませると、マスク装着の意識にとりつかれた時勢から生まれた新曲「マスクヒステリア」、子供の頃の夢を振り返るような哀愁を歌った「POWER AND GROLY」と立て続けに披露。その後、PONのMCへ。

「帰ってきたで渋谷!」、「コロナ禍の中よくいらっしゃいました!」、「今日は楽しむために皆さん集まってくれてるやんね。間違ってませんよ! その権利だけは絶対守りましょう! 大変だと思うけどね……(笑)」と、シニカルな笑いを生む。楽しむためだけに集まったファンとともに、「プリムローズ」、「VIKINI」などを披露し猛攻を再開。観客という合唱団をまとめる指揮者のように振舞うCHARMYの姿が印象的だった。この流れの中では新曲「リベラタウン」も披露し、CHARMYが一度ステージを下がり、PONがメインボーカルをとる。ライブショーにかかる制限や、左派や右派に分断した世の中への想いをラフィンノーズからの視点で歌い上げる。以前あるインタビューでPONは「(超満員のワンマンライブの)何も気を使わず会場全体を支配できるあの感じ」と語っていたが、まさにメンバーは自分たちが伝えたいメッセージや培ってきた音楽を全身で体現しており、会場が包まれている光景がとても自然なように見えた。そのまま「FALLIN’FALLIN’INTO YOUR HEART」、「BAND ON THE RUN」、「明日を狙え」と最後まで新旧織り交ぜながら本編を駆け抜けた。笑顔で感謝を告げて振り返った時に見えた、汗でジャケットの色が変わったメンバーの後ろ姿が彼らのパワーを物語っていた。

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