NOISEMAKERが語る、コロナ禍で生まれた分断へのメッセージ、DIYでバンドを続ける意義

「頂点」が呼んでいる

ー歌詞に関してはコロナ禍の事情を反映させていると思うのですが、どういうところから着想を得たんですか?

AG:最初は曲ができて、1回適当に歌うところから始まりました。そのときに「APEX」って口ずさんでいたんです。内容的には曲を聴いていたら、立ち向かっている人が頭に浮かんできて。俺は昔、札幌の居酒屋で働いていたんですけど、店長と会ったときに店の状況を聞いていたんです。ライブハウスもそうだし、皆がやばいところまで来ている状況が分かって、それで歌詞を書き始めました。例えば、「両手を縛られたままどうやって引き金を引けっていうんだ」という歌詞は、戦場にいたとして、戦える武器を渡されたとしますよね。俺だったら音楽。居酒屋の人だったらお店やお酒、今のコロナ禍の状況を戦場としたら、銃を持っているんだけど、両手をぐるぐる巻きにされて、戦ってこいと言われている感じがしたんです。今回の曲を聴いて、お店やライブハウスをもう辞めようかな、閉めようかなと思っている人が聴いたときに、「もうちょっと頑張ってみよう」と思えるような曲を書きたいと思いました。「俺が見た頂点が呼んでる」と最初は言って、上を見ているんだけど、最後のサビではその頂点に立っている。頂点というのは人それぞれの夢だったり、些細な目標。今やっていることを続けることでもあるんです。

―コロナ禍でみんなが本当に大変な思いをしている状況が自然と言葉として湧き上がってきた感じですか?

AG:そうですね。自分たちや周りで関わる人たちもいろいろ被害を受けている中で、大変じゃない人はほぼいないんじゃないかなと思って。何を書こうと悩むのではなく、今自然に書けること。今社会では分断が起こってますけど、他人に指をさしている場合でもないし、怒りをぶつける相手を間違えない方がいいと思ったんですよね。生きている尺度は人それぞれ違うじゃないですか。その違いによって指をさしあって喧嘩している場合じゃない。そういうメッセージも込めています。

ーサウンドに触発されて出てきた言葉はありましたか?

AG:それもありますね。Aメロは悲鳴とか血を感じる。強いメッセージがAメロで見えるから、そういうものに自然と導かれているのかもしれないです。

ー作詞に関しては毎回そういう感じなんですか?

AG:最近はそうですね。内容を思いついて溜めて書いたとしても、できた曲に合わせたとき、ロックなのにやさしいことを書いていたら合わないなと思って書き換えることが多いです。自分の気持ちや言いたいことをふわっと持ちつつ、曲と合わせてカチッとはめるのが1番気持ちいいですね。

ー今回はアートワークも描き下ろされていますけど、作詞と繋がっているものはありますか?

AG:曲を聴きながら考えて、制作は3日かかりました。デザインは一発で見てかっこいいと思えるものが好きなんです。みんなが頂点に向かって、手を伸ばしているデザインがいいかなと思って。我先に相手を蹴落として取りに行ってるのか、みんなを守りながら取りに行ってるのかは見る人が決めればいい。あとは医療従事者が守っているのか、でも、我先に取りに行ってる人をまた蹴落としているのかは分からないですけど。5本の手があるのは五色人を表していて、下が花なのはそんな中でも平和であってほしいという願い。見る人がどう見るか決めてくれればいいかなと思います。

ーそういう意味ではちゃんと強力な1曲になって、世に出せましたよね。

AG:そうですね。

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