ロシアのサイバー攻撃をリークして逮捕された米女性が語る、情報源秘匿の問題

収監後の新生活

刑務所での4年間、ウィナーは女性看守から暴行を受け、麻薬に手を染め、その後断薬し、新型コロナウイルスに感染して回復した。ついに釈放された夜、彼女は眠れなかった。「夜中に部屋で、それも真っ暗な部屋で1人きりになったのは4年ぶりでした」。代わりに彼女は高校時代の恋人と電話をつなぎっぱなしにして、彼がTVゲームしている音に耳をそばだてていたという。「1人でいることが耐えられなかったんです」と本人。

今現在、ウィナーは過去6年を取り戻すのではなく、新たな人生の再建に力を入れている。自分を題材にしたドキュメンタリーを見たことはない。FBIの取り調べ調書をもとにしたブロードウェイ公演にも招待されたが、断った。今年初めには姉と弁護士はサマンサ・ビーの番組『Full Frontal』に出演した。彼女も番組を視聴しようとしたが、「体が拒否反応を示して――ものすごく震え出したんです。自分についてのニュース映像や、三人称で書かれた記事を読むたび、今でもひどいトラウマ症状が現れます」

代わりにウィナーは生まれ育ったテキサスの田舎町キングズビルで、ひっそり暮らす生活に慰めを見出している。「故郷では誰も私のことを知りません」と本人。例外は高校時代の同級生の父親と(「彼は私の事件を知っていて――政治の裏側を暴いたことに感謝していました」)、彼女の行為への「感謝のしるし」として最近干し草を一束置いていった隣人だけだ。

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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