アリアナ、KOHH、カリードまで マライア・キャリーの華麗なるコラボ歴を総括

左からカリード、マライア・キャリー、カーク・フランクリン

今年もマライアの季節がやってきた。今やサンタクロースかマライア・キャリーかと言われるほどクリスマスに欠かせぬ風物詩となった7オクターブの女王。昨年のアリアナ&ジェニファーとの共演に続いて、今年もカリード&カーク・フランクリンとのコラボによる新曲「Fall In Love At Christmas」を発表、クリスマスシーズンの到来をいち早く告げてくれた。

マライアといえばディーバの中のディーバ、“私が一番、スポットライトを浴びるのはワタシだけ”というイメージが強いかもしれないが、実は意外と共演が多いアーティストでも。新旧問わず、ジャンルを構わず。ここぞいうところで面白いコラボをぶつけてくる。“え、こんな共演やっちゃうの!?”というマライアの歴代コラボの中でも特に“いわくつき”なものを、ここではご紹介。クリスマスの女王が振りまくクリスマススピリットも合わせて感じてもらえるのではないかとーー。

11月に発表されたその新曲「Fall In Love At Christmas」は、90年代のマライア節を彷彿とさせるR&Bメロディと、服飾量販店CMのように陽気で好感度の高いカリードの低音、カーク・フランクリンならではのアーバン・ゴスペル・コーラスが後半を盛り上げ、そしてホイッスルボイスまでが飛び交う、正しく“てんこ盛りのコラボ”。クリスマスなのだから、これくらい盛って当然でしょ?と言わんばかり。マライアと恋人のブライアン・タナカ(なぜだか姫は彼を“タナカ”と苗字で呼ぶ、笑)が監督を務めたビデオには3者はもちろん、彼女の子どもたちも登場。大好評だった昨年のApple TV+の彼女のクリスマス特番の続編となる今年の『Mariah’s Christmas: The Magic Continues』にも、カリードやカーク・フランクリンは出演。どうやら彼女のクリスマス特番は、毎年恒例のイベントとなりそうだ。



ゴスペル的要素に関しては、シングル曲からはさほど感じさせないマライアだが、一心不乱にソウルを振り絞り、トランス状態へと舞い上がらせてしまうのは、彼女のライヴを体験したことがある人なら承知しているだろう。たとえば“ゴスペル隊と共演した”「Make It Happen」は昨年リリースされた『レアリティーズ』の日本版、その1996年の東京ドーム公演の映像においても、とにかく圧巻なのだが、更に遡った92年『MTVアンプラグド』でも既にその片鱗はしっかりと窺える。まだツアーをやったことがなかった当時のマライアに対して“本当に歌えるのか?”といった世間の疑問を一瞬にして払拭。そのライブにおける彼女はとにかく初々しくて、原石の輝きだ。このライヴ盤からはジャクソン5の名曲を見事な解釈でカバーした「I’ll Be There」(1992年)のヒットも誕生した。無名のバックシンガー、トロイ・ロレンツとの“白羽の矢デュエット”は、彼女のアクロバティックな美声を、いっそう際立たせた。




もちろん絶頂期の人気アーティストとのコラボも少なくない。おそらく彼女のキャリア中1〜2を争う最大級のヒット曲「One Sweet Day」(1995年)は、飛ぶ鳥を落とす勢いだったボーイズIIメンとの共演だった。マライアは他界したプロデューサーのデヴィッド・コール(C&Cミュージック・ファクトリーの中枢メンバーで、前述の『MTVアンプラグド』ライブではピアノも演奏)に思いを馳せつつ、片やボーイズIIメンは他界したツアマネを回想しながらマイクを握った。雲上を浮遊しているかのような、しなやかな極上ソングは“亡き恩人を忍んだ”コラボだった。



デビュー当時から永遠のライバルと言われてきたホイットニー・ヒューストンとも「When You Believe」(1998年)でデュエット。アニメミュージカル映画『プリンス・オブ・エジプト』の主題歌という、やや番外編的な企画だったが、プロデューサーのベイビーフェイスが両者の間を取り持つ形で完成に漕ぎ着けた。誰もが予期していなかった“ライバル共演”でもあり、狙い通りに全世界をアッと驚かせた。



さほどライバル視はされてなかったものの、ローリン・ヒルとの共演と聞いて驚かない人はいないだろう。昨年リリースされた『レアリティーズ』に初収録で話題となった「Save The Day」(2020年)は、2011年に制作されたものだが、そのまま眠っていたという“お蔵入り共演”。フージーズの「Killing Me Softly」(96年)からローリンのボーカルをサンプリング。新たな歌入れではなかったため、ファンの間ではやや残念といった声も聞かれたが。


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