矢沢永吉、ロックシンガーとして不屈の闘志を見せたツアーファイナル

矢沢永吉(Photo by 平野タカシ)



「みなさんようこそいらっしゃい!とうとう来ちゃったよ、31回目のファイナルの夜が!今から2時間半、楽しんでください!」

そんなMC第一声から続いた「背中ごしのI LOVE YOU」は、オリジナルとは違うどっしりとしたリズムのライブアレンジとなっていた。“何も見えない 明日はどっちだ”との歌い出し、“この先が荒野でも 幸せにするぜ”と歌うサビは待ちわびたファンには涙もののフレーズだっただろう。アコースティック・ギターを持つと、キャロルのナンバー「最後の恋人」をリラックスした歌と演奏で聴かせた。続いてもキャロルの「やりきれない気持ち」が披露されたが、効果的にエレキギターのオブリガードが入るハードでブルージーなアレンジで懐かしい曲に新しい魂を吹き込んでいた。続いて70年代から一気に時代は飛んで、2019年にリリースした最新アルバム『いつか、その日が来る日まで…』からのバラード「愛しているなら」が歌われた。MCでは今日がツアーで31本目のライブになることに触れ、「若いときは年間100回は当たり前。でも今はあのときにないものが出てきている。生のステージが僕は大好きです。来年、デビューして50周年を迎えることになります。本当にありがとう!」とファンへの感謝を示した。



画面に映し出された列車の汽笛から、「恋の列車はリバプール発」が始まり、一気に会場が華やいだムードに。ステージのせり出しで周辺の客席のファンに囲まれて、早くも“ロックンロールに感謝しようぜ!”と決めフレーズが飛び出した。クリスマスのライブで聴くことができる特別な曲「Last Christmas Eve」の歌い出しでは、客席から盛大な拍手が沸き起こった。ひと際丁寧な歌い方は、矢沢自身にとっても特別な曲であることを伺わせる。間奏と終盤では、横浜アリーナの高い天井に吊るされたミラーボールが回り、会場中がキラキラと輝く演出も。ロマンティックなムードは続く3連符のバラード「DIAMOND MOON」に引き継がれた。優しく包み込むような美しいメロディに会場中が酔わされたコーナーだった。「今日はなんか来るね、来るよ。こうやってずーっとステージに立ち続けられる。幸せなことですね。みなさん、本当にありがとうございます」としみじみと語ると、大きな拍手が贈られた。

80年代からのライブアンセム、「YOU」が勢いよく始まった。ロックでタイトなモータウンサウンドで、曲調は明るくポップなのに、なんだかたまらなく泣けた。”傷つくだけと言いきかせても あなたに会いたくて“と歌う矢沢流の切ないラブソングの名曲だ。また、この日はエッヂの効いたギターサウンドがリードする曲が目立った。2本のギターがリフを刻む「GET UP」では、サビに合わせて拳が突き上げられる。コーラスの女性2人が矢沢と共にフロントに立ち煽る場面もあり、大いに盛り上がった。「BIG BEAT」で文字通りの豪快で大きなビートに乗せてパフォーマンスすると、“I’m A Rock’n Roll Man!”と溜めにためて叫んだ矢沢に観客のリスペクトの念がこもった怒涛の拍手が鳴り響く。激しいロックチューンの後に、間髪入れずに「AZABU」「この海に」としっとりとした曲を見事に歌い上げる矢沢。高音でもまったくピッチのずれない正確無比な歌唱技術の高さ、ステージを縦横無尽に動き回るスタミナを維持している肉体は驚異的だ。

「これからもまだまだいろんなことがあると思うけど、我々は必ずそれを越えて、越えて、越えていけるんだなと思っています。今年は2年振りのステージで、(初日の)金沢のMCの一発目で本音が出ました。“会いたかったよ、みんなに!”って。今日もその通りです」

Rolling Stone Japan 編集部

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