矢沢永吉、ロックシンガーとして不屈の闘志を見せたツアーファイナル

ここで、“さいこうのバンドメンバー”が紹介された(大郷良知(Sax)、米川英之(Gt)、近田潔人(Gt)、MORIO(Ba)、吉田佳史(Dr)、松本圭司(Key)、桑迫陽一(Perc)、Annette Marie Cotrill(Cho)、ArgiePhine(Cho)、湯本スーパーホーンセクション)。そして、ライブは後半へ。王道ロックナンバー「世話がやけるぜ」から、ツアー後半、武道館などではオープニング曲となっていた「JEALOUSY」へ。切れ味鋭いギターリフが牽引して、ピアノの艶めいた音色が間を縫って走っていく。マイクスタンドを掴んでステージ前に移動して熱唱する矢沢。この曲は無骨なロックのようでいて、ループしてカオスになっていくダンスミュージックだ。そして、畳みかけるように始まった「PURE GOLD」。両手で大きく手拍子する観客を前に、一瞬歌えなくなり天を仰ぐ矢沢。今回のツアーに至るまでの思い、ファイナルを大観衆と共に迎えられた思いがこみ上げてきたのだろうか。長年ステージに立ち続けてきた叩き上げのロック・ミュージシャン矢沢永吉の心境をわずかながら共有できたような、感動的なシーンだった。

アンコールでは、真っ白なスーツを着て登場。感傷的なムードを打ち消すように、「サイコーなRock You!」からラストはおなじみの「止まらないHa~Ha」へ。レーザー光線が飛び交う中、ハットを被った矢沢が観客を煽ると、タオルは上げられないかわりに両手を頭上にあげて応えるファンたち。トロッコに乗り込んだ矢沢が客席中央まで運ばれて行き会場のど真ん中でパフォーマンスすると場内は最高潮の盛り上がりとなってエンディングを迎えた。凄まじい熱気を残してステージを去ると、暗転した客席には英語バージョンの「Last Christmas Eve」がBGMとなり、横浜アリーナ周辺のファンたちの姿、ステージでのリハーサルの模様がスクリーンに映し出され、「矢沢、必ず帰ってきます! また会える日まで! Merry Christmas」とのメッセージで、ライブは終了となった。

全22曲、13000人の観客からのエネルギーを全身で受け止めながら、走り抜けた2時間のステージ。ツアーを通してロックシンガーとしての不屈の闘志を見せた矢沢永吉が、これからも最高のパフォーマンスでステージに立ち続けるであろうことを確信した、感動的なツアーファイナルだった。



EIKICHI YAZAWA CONCERT TOUR 2021「I’m back!! 〜ROCKは止まらない〜」
2021年12月25日(土)横浜アリーナ
セットリスト
1. ラスト・シーン
2. 長い黒髪
3. 背中ごしのI LOVE YOU
4. 最後の恋人
5. やりきれない気持ち
6. 愛しているなら
7. 恋の列車はリバプール発
8. TOKYO ZOO
9. Last Christmas Eve
10. DIAMOND MOON
11. YOU
12. GET UP
13. だから、抱いてくれ
14. 夜間飛行
15. BIG BEAT
16. AZABU
17.この海に
18. 世話がやけるぜ
19. JEALOUSY
20. PURE GOLD
アンコール
21. サイコーなRock You!
22. 止まらないHa~Ha

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE