黒人女性の「死」は白人女性に比べて軽視されている 遺族が警察を提訴 米

2021年12月に亡くなったローレン・スミス-フィールズさん(Lauren Smith-Fields/Instagram)

昨年12月、米コネチカット州ブリッジポートの自宅アパートで遺体で発見されたローレン・スミス-フィールズさん。事件発覚後、ソーシャルメディアで広く注目を浴びつつも、死因は以前謎のままだ。遺族はブリッジポート警察が継続する捜査方法に苛立ちと不満を募らせている。市当局の不手際は黒人の命――それも黒人女性の命を世間が重要視していないとし、現地時間16日の記者会見で同警察を提訴することを発表した。

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アメリカ国内で多くの人が比較対象に挙げているのが、白人女性のギャビー・ペティートさんだ。ペティートさんは恋人と長期ドライブ中に行方が分からなくなり、全米のニュースで連日のように報道されたが、のちに遺体で発見された。

「この世界、この国では、黒人女性が行方不明になるといつもこうです。誰も何も言いません」。遺族の弁護士、ダニエル・クロスランド氏はこう述べた。「白人女性が行方不明になったら、こうはなりません。こんな風に貶められるのはうんざりです」

「我々はブリッジポート警察を職務怠慢、および憲法修正第14条にもとづくこの家族に対する保護怠慢で訴えます」とクロスランド弁護士。憲法修正第14条は南北戦争後に追加された条項で、全ての市民――それまで奴隷だった黒人も含むすべての市民を、法の下で平等に保護することを目的としている。

スミス-フィールズさんは、出会い系アプリBumbleで知り合ったマシュー・ラファウンテンという男性と落ち合った後、自宅のアパートで遺体で発見された。

クロスランド弁護士が入手した事件の報告書によると、スミス-フィールズさんの遺体を発見したのはラファウンテン氏だった。ちなみに彼は白人男性だ。報告書によれば、スミス-フィールズさんはネイル代40ドルを貸してくれとラファウンテン氏に頼み、2人はブリッジポートの自宅で落ち合って「テキーラをショットで」飲んだ。男性が警察に語ったところでは、スミス-フィールズさんは具合が悪くなり、浴室へ行って嘔吐した。具合が悪くなった後に彼女が戻ると、2人はテキーラをソーダ等で割って飲み続けた。ゲームをして、食事をとり、映画を見始めたところでスミス-フィールズさんの携帯にメールが入ったそうだ。報告書によれば、彼女は家の外で兄から何かを受け取り、部屋に戻るなり浴室に直行して10~15分間出てこなかった。「男性はおかしいと思ったが、彼女をそれほどよく知らないので、自分はとやかく言う立場ではないと感じた」と、警察官は記述している。

遺族は警察の報告書に数々の疑問を投げかけている。スミス-フィールズさんの母親シャンテルさんと兄のラキーム・ジェッターさんによれば、彼女のネイルはその週の初めに整えたばかりでまったく損傷はなく、葬儀の際も手を加える必要はなかったという。また、その夜にスミス-フィールズさんの姿を最後に見た親族の話とも食い違う。

「12月4日以降、妹に携帯メールは送っていません」と兄のジェッターさんも言い、12月11日の夜については、洋服を取りに行くから外に持って来てくれとスミス-フィールズさんに電話した、と語った。「中に誰かがいたとは知りませんでした。妹は外に出て、10~15分ほどしたら家の中に戻っていきました。いたって普通でした。具合が悪かったり、疲れていたり、酔っ払っていたようには見えませんでした。僕は上から2番目の兄ですが、仮に妹が酔っ払っているように見えていたら、『何をしているんだ?』……『顔色がおかしいぞ?』と言っていたはずです」

Translated by Akiko Kato

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