DOPING PANDAフルカワユタカが明かす、バンド再結成秘話

一抹の寂しさはずーっとあった、ほかのバンドを見ていて

──デモを作って以降は、どういう作業の進み方になるんですか?

リモートだったので、デモを送って、タロティがベースを入れて戻して来て、Hayatoがちょっと味付けして戻して来て、みたいなやり取りでした。で、そうやって音が返ってくるたびに、どんどん不安が取れていく、っていう感じでした、「ああ、やれるやれる」って思って。

──イヤなことを言いますけど、フルカワさんは、ソロにしても人のサポートにしても、凄腕のミュージシャンたちとやって来たじゃないですか。ドラムならfox capture planの井上司とか、ベースなら村田シゲとか、雲丹亀卓人とか。

そうですね。

──という経験をしてしまったがために、DOPING PANDAに戻った時に……。

いや、それはね、ありますよ。そりゃ、村田シゲとかウニちゃんとタロティは全然違いますよ。foxのつかっちゃんも、やっぱりすげえし。それは違います。違うんですけど、なんて言うかな、やっぱり、バンドはそれを超えて行きますね。

──うわ、いいこと言いますねえ。

超越する、全然。この10年、いろんなバンドを見てきましたけど、やっぱりみんな、仲悪いじゃないですか。仲いいバンドなんか俺、知らないです。って言っていいぐらい。

──(笑)はい。かつてのDOPING PANDAのように。

僕らはあれでも仲良かった方ですよ(笑)。
まあ、若い世代には、本当に仲いいバンドもいっぱいいるけど、僕らくらいのバンドは、続けていくうちにみんな、なんかしら問題がありながら、どっかに傷を抱えながら、やってるんです。でも、それでもうらやましかったですから、僕。

──ああ、ひとりになってからね。

胸ぐらつかみ合ってる姿すら、うらやましかったから。チームで、傷があって、それをなんとか治そうとしながらやっているのとか、問題が起きたけど、それでも続けていくドラマティックな姿とか。そこにファンが愛を感じて応援している。それはね、演奏とかを超越してるんですよ。10年前にドーパンをやってた時は、それに気づけなかった。あのボロボロの姿でよかったんだし、そこをもっと自分でコントロールする術があれば……まあ、なかったから解散したんだけど。ただ、だからって、それでもそのまま続けているのが、本当にミュージシャンとして幸せかっていうと、みんなあんまり幸せそうじゃなかったりするんだけど(笑)。

──はははは。わかります。

だから難しいんだけど、でも、自分がソロになっちゃうと、やっぱりうらやましかったですね。自分の活動が、2016年くらいから、だんだんうまくいくようになって来ていたけど、その喜びとは別に、一抹の寂しさはずーっとありました。ほかのバンドを見ていて。ただ、それが再結成につながってはないですけど。で、ほら……俺もそうだけど、解散してソロになると、絶対みんな、バンドの時よりもうまいサポート・メンバーを集めるじゃないですか。

──みんなそうしますよね。

でも、それで何年かやってみて、そこじゃないことに気づくんです。それは痛いぐらいわかります。この間のFEVERもそうだけど……演奏してて、自分達がどこのフィルでつっこむか、知ってるんですよ。で、フワッとしたタロティのベースが、気にはなるんだけど(笑)、当時それを気にしていた感じが、自分の中にインプットされていて。で、心地いいんですよね。僕でさえそうだから、やめずにずっとやっている人たちは……あ、やめずにやっている人たちは、ずっと心地悪いまんまか。(笑)

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