BEYOOOOONDS初武道館公演、「楽しすぎて泣きそうになる」という唯一無二の感覚

ブラッシュアップされた既存曲

本公演を観るにあたって気になっていたのは、いくつかの既存曲がどのようにパフォーマンスされるかということ。なぜなら、原曲のまま披露するにはちょっと無理があったからだ。しかし、芸の細かいBEYOOOOONDSがそのまま放っておくわけがなかった。「Go Waist」で登場したサヤー隊長(江口紗耶)は着席観覧の観客に配慮したワークアウトを指示し、令和元年に発表された「元年バンジージャンプ」は「4年バンジージャンプ」として生まれ変わった(昨年行われたFCイベントでは「3年バンジージャンプ」として披露されたようだ)。ユニット曲ではSeasoningS「We Need a Name!」の変化にもニヤリとさせられた。そのほかにも本当に細かい改良が加えられ、ただただ唸るしかなかった。常に「今」を大事にし、その都度ブラッシュアップしていくのである。







中盤に披露された、数曲のパフォーマンスを盛り込んで繰り広げるハイブリッド寸劇『眼鏡くんは罪なやつ』も圧巻。しっかり練られた脚本と各メンバーの演技が本当に素晴らしかった。オープニングナンバーとなった「眼鏡の男の子」で講談師(清野桃々姫)の語りが始まってすぐに、彼女たちの演技が凄みを増しているのを感じた。歌やダンスだけでなく、演技においても大きな成長を見せていたのである。



BEYOOOOONDSのステージは、歌、ダンス、寸劇という3本の柱で構成される。歌とダンスだけでも大変なのに、そこに演技が加わることによってハードルはさらに上がる。しかし、それを感じさせないのが12人の凄さ。セリフを忘れるどころか噛むことすらなく、間の取り方や表情まで完璧。ひとつの舞台として完璧に成立していた。特に際立っていたのは島倉の存在感。本来はお嬢様キャラを演じる彼女が眼鏡くん(前田こころ)を人質にとった場面で見せた狂気の表情はコメディであり、見方を変えればホラーでもあった。劇中の言葉を借りればまさに「おいしい」役どころだったのだが、それ以上のものに昇華したのは彼女の演技力のたまものである。



演技とは別だが、豹変ぶりでいうと岡村美波もすごかった。雨ノ森川海のユニット曲でギラついた表情でパフォーマンスしたかと思えば、その他の楽曲ではキラッキラのアイドルスマイルを見せる。これまでもそうではあったのだけど、その振り幅がより大きくなっていた。彼女はこの日、何かと目で追いたくなるメンバーのひとりだった。



歌、ダンス、演技に加えてピアノという大役を担っていた小林の動きも凄まじかった。楽曲によってグランドピアノとショルキーを使い分け、時には左手で鍵盤を押さえ、それと同時に右手でマイクを持つという曲芸に近いようなことも軽々とやってのけた。

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