「ツタロック DIG LIVE vol.9 -OSAKA-」大阪初開催、個性豊かな若き才能9バンドが集結

サウンドチェックから客席を盛り上げていたのは、女子大生バンドから社会人バンドになった4人組ポップスバンド・ヤユヨ。すーちゃん(Dr.Cho.)のカウントからリコ(Vo.Gt.)の鋭いボーカルとともに突き抜けた「いい日になりそう」から軽快にスタート。同時に、華やかさとヘルシーさがステージからパッと弾ける。間髪入れずに「futtou!!!!」でカラフルなサウンドを投下。リコはウェーブのかかったロングヘアを揺らして、天真爛漫かつキレのあるパフォーマンスで場を牽引する。はな(Ba.Cho.)がクラップを煽ると客席がひとつになった初期の楽曲「ユー!」を経て、MCではリコが笑顔で「BIGCATに出るのも初めてで楽しみにしてきました。Tポイントカードにあわせて黄色のパンツを履いてきたよ」と無邪気に話す。ツタロック本編出演の夢も口にして、キュートでポップな前半からカッコ良いゾーンの後半へ。ぺっぺ(Gt.Cho.)の歪んだギターがうなる「おとぎばなし」では、切なさも孕んだメロディと情緒的な歌声で、前半とのギャップを見せる。ヤユヨは男性性と女性性のバランスが良いバンドだなと思う。前進するパワーと同時に、女性ならではの柔らかさや逞しさも感じる。一番自信のある曲と、一番大切な曲と紹介された「あばよ、」「さよなら前夜」の2曲からは、潔さにも似た彼女たちの本気と覚悟が感じられた。性別や世代を超えて愛される魅力を全力で放っていたヤユヨ。ますます大きくなっていくだろう頼もしさを感じたライブだった。


ヤユヨ。(photo by 松本いづみ)

2022年3月に全員が高校を卒業したばかりの4ピースバンド・ケプラは、THE 2の「ケプラー」をSEに登場。「初めましてケプラです! 今日はよろしくお願いします!」と柳澤律希(Vo.Gt.)が元気に挨拶し、1曲目の「春が過ぎたら」で爽やかに音を跳ねさせてゆく。彼らは2020年9月に高校の同級生で結成、同年11月よりライブ活動を開始した、コロナ禍生まれのバンド。2021年9月から受験のためライブ活動を休止するも配信シングルを2枚立て続けにリリースするなどバンドの動きは止まることはなく、卒業後の5月にライブ活動を再開した。短くポップな新曲「グランピー」、4人全員のカウントから始まった「くしゃみ」、高校生活のストレートな感情を歌った「YOUTH」と立て続けにアッパーな楽曲を投下し、フロアの熱をぐんぐん上げてゆく。けんた(Gt.)のギターリフが印象的な「これからのこと」はTikTokでバズった楽曲。柳澤の弾き語りから始まる「おねだり」では、ハヤト(Dr.)とかず(Ba.)のリズム隊がしっかりとメロディを支える。SNS世代でありながら、どこか懐かしさも感じさせるメロディーライン。バランスの良い演奏力はもちろんのこと、ソングライティング能力の高さを感じさせる。ラスト2曲はグッドメロディーで爽快感を滲ませた新曲「うわごと」、弾けるようなロックチューン「16」で一気に駆け抜けた。フレッシュな彼らだからこそ鳴らせる、等身大の青春ロックを堂々と響かせた4人だった。


ケプラ(photo by 松本いづみ)

Rolling Stone Japan 編集部

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