ギターソロについて思うこと―ところで最近、日本のSNSで「いまどきの若者は曲を聴く時にギターソロをスキップする傾向にある」というのが議論になったんですが、どう思いますか?スラッシュ:俺の知る限り、ギターソロが始まるとスキップするような若いリスナーはいないはずだ。そんな傾向があるなんて話は初耳だな。
―本当にそうだとしたら、由々しき事態ですよね?スラッシュ:ああ。良いギターソロというのは、曲自体をさらに良いものにするわけだから、それを早送りにして聴き飛ばすなんて、考えられないよ。ただ、最近、ギターソロってものが埋め合わせのように使われている傾向があるのは確かで、それは問題だと思う。ただそこに演奏箇所が設けられているというだけで、何も語っていない無意味なソロが入れられているケースが往々にしてあることがね。メロディという意味でも、そこから生まれる感情という意味でも、単なる流れの一部でしかなかったりするんだ。実はそうした傾向は80年代から始まったもので、ギターソロというものが単なる形式的なもの、形だけのものになっていることに俺自身も気付かされていたよ。そういう類のソロをリスナーが早送りするのは、むしろ大歓迎かな(笑)。特にコマーシャルな音楽においてはそういった傾向がある。だけど本当に良いギターソロというのは、本来、曲自体をいっそう良いものにするものであるはずなんだ。
―ええ。あなた自身が「この曲のギターソロは早送り不能だろ?」という実例を示すとしたら、どんな曲を挙げますか? あなた自身のソロも含めて。スラッシュ:最初に思い付いたのはピンク・フロイドの「Money」だな。こないだ車の中で聴いたばかりだというのもあるんだけど、デイヴィッド・ギルモアの弾くギターソロはどれだって素晴らしい。あとはレッド・ツェッペリンの「Whole Lotta Love」とか、マンフレッド・マンズ・アース・バンドの「Blinded By The Light」。どちらも古い曲だけど、俺がギターを弾き始めた頃に影響を受けたソロだ。楽曲という単位の中で考えた時に、これぞ最高のロックンロール・ギターソロだと思える代表例だといえるね。イーグルスの「Hotel California」でのドン・フェルダーとジョー・ウォルシュのギターソロもいい。実例なんてたくさんありすぎて、何日間だって挙げ続けられるよ。自分のギターソロについては……それはリスナーが決めることであって、俺自身の口からいうべきことじゃないね。
―まだまだお聞きしたことはたくさんあるんですが、残念ながらそろそろ時間のようです。最後に、これから『4』に触れることになる日本のファン、日本での再会を心待ちにしているファンに向けてのメッセージをお願いします。スラッシュ:俺も日本に行きたくてたまらないんだ。まずはみんながアルバムを気に入ってくれるといいな。間違いなく、エネルギー満載のロックンロール・アルバムだ。近頃はこういう作り方によるアルバムは減ってしまっているけど、すごくいい音に仕上がっていると思う。そんなアルバムの曲たちをパフォームできる日が来るのを楽しみにしているよ。日本のオーディエンスの前で最後に演奏してからだいぶ経ってしまっているから恋しいよ。アルバムを聴いてもらえたら嬉しいし、またそっちに行ける日を心待ちにしているよ。
スラッシュ feat. マイルス・ケネディ&ザ・コンスピレターズ
『4』(デラックス・エディション)
2022年6月22日発売 定価:3,960円(税込)
●日本限定パッケージ
●ボーナス・トラック4曲追加収録
●全14曲のスタジオ・ライブ映像を収録したDVD付
●解説・歌詞・対訳付
『4』
(通常盤)2022年6月22日発売 定価:2,860円(税込)
●ボーナス・トラック4追加収録
●解説・歌詞・対訳付
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https://warnermusicjapan.lnk.to/slash_4