almost mondayが語るビーチとブリットポップへの共感、3人の人生に音楽が与えたもの

オールモスト・マンデー(Photo by Cole Ferguson)

 
メンバー全員がサーフィンをこよなく愛し、故郷サンディエゴのレイドバックなライフスタイルに愛着を抱いているが、鳴らすのは単なるサーフ・ミュージックどころか、様々な時代の音楽に影響を受けた、一筋縄ではいかないオルタナ・ポップ。オールモスト・マンデー(almost monday)はそういうユニークな存在だ。

2015年頃にドーソン・ドハティー(Vo)、ルーク・ファブリー(Ba)、コール・クリスビー(Gt)によって結成されて以来、マイペースに歩みながらファンを増やし、『don’t say you’re ordinary』(2020年)と『til the end of time』(2021年)の2枚のEPを発表。その間デヴィッド・ボウイやプリンス、或いはザ・ストロークスやコールドプレイなどからインスピレーションを得て音楽性を深化させてきた彼らは、Z世代の雑食性をほかにない形で発露させたバンドと言えなくもない。今年10月初めに独自企画の日本デビューEP『cough drops (japan special edition)』を送り出し、初来日を果たした3人に、そんな独自性の裏側にある活動スタンスや、音楽への思いを訊いた。


2022年10月13日、東京・代官山SPACE ODDにて(Photo by Yuki Kikuchi)

―振り返ってみると、2019年にシングル「broken people」をリリースして以来どんどん勢いをつけていたあなたたちにとって、2020年は勝負の年になるはずでした。なのに、パンデミックに出鼻を挫かれたようなところがありましたよね。

コール:そうだね。でもパンデミックはプラスになった面もあるんだ。じっくり時間をかけて自分たちの音楽と向き合えたし、アーティストとして成長し、進化できたと思う。もちろんライブができなくなったことで落胆は大きかったけど、逆にあの時期を経ているからこそ、今こうして世界を旅してステージに立てることのありがたみを痛感しているよ。

―そして今年は精力的にツアーを行なっていますが、ツアーが長引くと、サンディエゴの何が恋しくなりますか?

ルーク:大好きなピザ屋が恋しくなる(笑)。夜8時を過ぎると値引きするシステムでね。あとはやっぱりビーチだな。帰って来た時にすごくリラックスできて、疲れを癒せるんだよ。

ドーソン:うん。サンディエゴがある南カリフォルニアのカルチャーはすごくリラックスしているし、ビーチ・カルチャーの町とも言える。人々ものんびりしていて、ああいう場所で育つことができて、恵まれていたと思うよ。



―そのサンディエゴでバンドが結成されたのは7年前に遡ります。どこかのタイミングで、バンドとしてステップアップするきっかけになった出来事はありましたか?

ルーク:みんなで大学を中退する決意をした時が、それに該当するのかな。音楽活動に専念しようと決めて、「ここから先は真剣勝負だぞ」と気持ちが引き締まったよ(笑)。

ドーソン:かなりビビってもいたけど(笑)。

ルーク:さすがに重い決断だからね。と言いつつも、地元のサーフ・ショップでライブをやって、知り合いに片っ端からメールして集まってもらう……という地道な体験を積み重ねて、徐々にバンドが大きくなっていったから、あの時点では自然な決断でもあったんだ。

―コールは子供の頃から、音楽業界の内側を覗ける機会を得ていたそうですね。

コール:親友の父親がブリンク182のマネージャーで、よくライブに連れて行ってくれたから、バンド活動の舞台裏を覗く貴重な体験をさせてもらったよ。あと、僕の両親はフー・ファイターズのクリス・シフレットと知り合いで、彼らのライブも何度か観ていて、インスパイアされずにいられなかった。それがギターを弾き始めたきっかけでもあるし、音楽で生きていきたいという気持ちが芽生えたんだよ。

―他方でドーソンとルークは幼馴染みなんだそうで、きっと色んなことを一緒に体験したんでしょうね。

ドーソン:そうだね。例えば、ふたりとも同時期に初めて楽器に触れているんだ。僕はギターでルークはピアノだったんだけど、ずっと兄弟みたいな存在であり続けてきたし、ほかにも色んなことを同時期に体験している。サーフィンも音楽作りも一緒に始めたし、そういう友人がいるのは素晴らしいことだと思う。その後コールと出会ったわけだけど、彼は凄腕のギタリストであるだけでなくサーフィンも得意で、共通項があったからこそバンドとして存続しているんだよ。

ルーク:あとは、『マリオパーティ』でも全員で盛り上がる(笑)。なんだかんだ言って、一緒に何かを楽しめるという点が、人間関係を維持する上で重要なんだ。ツアーをしていると疲れもするし、気楽に接することができる相手じゃないと続かないよ。

ドーソン:僕らは、仲のいい友達とバンドをやることを“仕事”と呼べる自分たちがいかに恵まれているか、ちゃんと認識している。まさに夢が現実になったわけだからね。こうして日本でインタビューを受けていることにしても夢みたいな話で(笑)、それを現実にしてくれたのが音楽なんだ。そういう気持ちも全員で共有しているよ。

 
 
 
 

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